「あー美味かったぁ。」
「ふふん、でしょでしょ?もっと褒めてもいいよ。」
「はいはい、清光くんよく頑張りました〜。」
「もぉ〜適当!」
私の思った通り、担当が光忠さんと清光ということもあって、晩飯は見た目も綺麗でとても豪勢だった。
特に焼き茄子が程良い焼き加減で香ばしく、ジューシーで美味かった。あれが伽羅ちゃんのリクエストかね?
一通り仕事を終えた清光は、いっぱい汗かいちゃったからお風呂〜と、いそいそと風呂へ向かって行った。
「主、今いいかな?」
「ん、ああ。報告だよな。」
「うん。ここでも大丈夫かい?」
「大体は分かってるからね。いいよ。」
「はは、それはそれは。それで今日は・・・」
廊下の縁側に座っていると清光と入れ替わるようにして、内番服に着替えた青江さんが報告しにやって来た。
今日の出陣先での一連の出来事、戦果、隊員の様子を細かく丁寧に教えてくれる。
やっぱりあの里は難所だな・・・こうも毎日皆を疲れさせるのは申し訳なく感じる。
この前出陣した爺共が勝手に連れ込んだ兎の世話をしてもらうだけの日・・・っていうのもありか。
それならアニマルセラピー効果もあっていいんじゃね?私天才だな。
なんてことを考えている内に、青江さんが報告をし終えていた。(あ、聞いてた聞いてた大丈夫)
「・・・以上だよ。何か問題あるかな?」
「うーむ、やっぱり皆疲れる?」
「そうだねぇ・・・何度も出陣、っていうのは厳しい物があるかも。」
「だよなぁ。うん、報告ありがとう。ゆっくり休んで。」
「ああ、主も幽霊には気を付けて・・・おやすみなさい。」
「不吉なことを言うんじゃない。おやすみさーん。」
明日以降はどうしようか。
今から頭を死ぬほど使うから、甘い物でも食ってから部屋に籠ろう。
厨の冷蔵庫に何か残ってるといいなー。
***
「お、良い物めっけ。」
冷蔵庫の中を覗くと、黄緑色の粒々した物。そう、ずんだを発見した。
テーブルに目をやると、多少硬くなってきている為か、誰も手を付けない一口団子が置いてあった。
これもう誰も食べんだろう。爺共がつまみ食いして喉に詰まらせたらめんどくせぇから、私が食べちゃお。
一口団子にずんだを乗せて、ずんだ餅の完成〜!
皿に乗せて部屋まで運ぶ途中の廊下で、縁側に腰かけて外を眺めている影が見えた。
お、あれは。
「月見かい?光忠さん。」
「ん? ・・・!?あっ、うん・・・。」
「今日の晩飯、美味かったよ。茄子って伽羅ちゃんがお願いしたの?」
「あ、ああ。焼き茄子が食べたいって言っててね。」
「ふーん。茄子好きなんだなぁ。」
私と目を合わせようともしない光忠さんがどもりながら受け答える。
そしてふと、私の手に乗っている物を見た。
「それ・・・。」
「硬くなって誰も食べない一口団子に、ずんだをかけてみましたー。」
「いいね。ずんだ餅みたいだ。」
「な。私、好きなんだよ。」
ずんだ餅、と続けて言おうとしたのだが。
いきなり光忠さんの顔がボッと赤くなる。えっ、どうした。
「そ、そんな・・・っ困るよ・・・!」
「ずんだ餅好きなのがいけないのか。」
「あっ、ずん・・・そ、そうなんだ。知らなかったなぁ!」
「・・・おう。あ、食ってみる?」
ほれ、と光忠さんに差し出す。
「ぅ、あっ、ぃ、いいよ。主のだし。」
「そうかい。じゃあ、私部屋で食うわー。」
よっこらせと立ち上がり、自分の部屋の方へ体を向ける。
すると光忠さんに手首を掴まれた。
何事かと思い、目線をそちらへ向けると光忠さんは俯いて物言いたげにしていた。
何かと問えば、いきなりバッと顔を上げて、切なげな表情で私を見上げる。こいつやっぱ情緒不安定か。
「・・・君、僕に何かしたでしょ!?」
「は?何もしてねーよ。」
「だって僕・・・この前から変なんだ!異様に伽羅ちゃんと主のことが気になり始めて・・・いや元々二人のことは気にかけていたけれど何か違うんだ・・・すごくもやもやする、こんなの嫌だ、格好悪いよ・・・。」
光忠さんは息継ぎも無しに一通り話して、また俯いた。
何の事を言ってるんだ。伽羅ちゃんと私?マジで分からん。でもここで放って置くのは審神者として最低じゃないか?
しゃがみ込み、光忠さんと向き合う。頭をぽんぽんと撫でてやれば、触らないで・・・と払い除けられた。
・・・本当にめんどくせぇ奴だなコイツ。
「あー何だ、この前っていつとかそういうのは、聞いちゃってもいいの?」
「・・・貞ちゃんと伽羅ちゃんと一緒に栗の皮を剥いていた時、」
「(何かあったっけ)そん時に私が何かしたんだな?」
「・・・してない。してない、けど。主のことボコボコにしちゃったし、あの時も何で自分がこんなことしてるのか分かんなかったし、僕もう嫌だ。考えるのに疲れたよ・・・。」
そうだ。あの時理由も分からずボコボコにされたんだ。思えば本当に謎すぎて腹立たしいが、今はまぁ見逃しておいてやる。
いまいち光忠さんの考えていることを組み取れず、うーんと唸る。
そんな中、背後に何か殺気(?)を感じた。
「そこぉッ!!」
「おっと!はっはっは、なかなかやるな主!」
「オメェ、これ私気付いてなかったら顔面強打案件だからな?覚えておけよ。」
その正体は鶴丸だった。
私のことを驚かせようとしてくるのが日常茶飯事過ぎて、もう気配を読むことさえ容易くなってきてしまった。出来れば慣れたくなかったけどな。
私のエルボーを華麗に避けた鶴丸が体勢を立て直し、うーむと腕を組んで顎に手を当て考えるような動きをする。
そしてぽんっと手を打って、光忠さんの両肩に手を乗せた。
「何やらお困りのようだな、光坊?」
「・・・そんなことは・・・」
「爺で良ければ話を聞いてやるぞ?ん?なぁに、少しずつでも構わないさ。光坊が話したいところまで、ゆっくりでいい。」
「鶴さん・・・。」
二人の周りにキラキラとした光が舞っているように見えた。はいはい、イケメン補正イケメン補正。
私の出番が無くなったと思い、そのまま何も言わずに退散しようと試みる。が、鶴丸に肩を掴まれ止められた。
振り返れば満面の笑みの鶴丸が、俺に任せておけ!とサムズアップをしている。
・・・もうこの人に任せておけば何とかなるんじゃないかという錯覚を起こしてきた。
私もサムズアップして、約束だぜ☆と言わんばかりに互いに手をぶつけた。
自分の仕事も残っていたので、少し乾き始めたずんだ餅を持って部屋に戻った。結局私は何も聞き出せんかったな・・・。
光忠さん、明日には元に戻ってればいいな。まぁ、あんま期待してないけど。
→