(ink、swapのSansと仲良し)



食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋
秋とは何て素晴らしい季節なんだろう。趣味に没頭しているだけで感心されるなんて!
○○の秋の中で特に好きなのが芸術の秋だ。
絵を描くことが昔から好きで、趣味程度ではあるが独学で好きな物を描き続けていた。

今日も続きを描く為に描きかけのキャンバスに向かう。
パレットに新しい色を出そうと絵具に手を伸ばした。蓋を開けて絵具独特の香りを嗅ぐのも好きだ。
香りを楽しんだところでパレットに中身を出そうとしたら、つるっと手が滑って床に絵具をぶちまけてしまった。
色が取れなくなってしまっては困ると急いで椅子から立ち上がり、少し離れた棚にしまっている布巾を取りに行く。
布巾を手に取って、絵具の方を振り返ると背後に人影が。


「Heya,ヒロイン!」
「びびび、吃驚した・・・インク!久しぶりだね。」
「久しぶり。何か描いてたの?」


零してしまった絵具から出てきたのだろうか、そこには久しく見かけなかった顔があった。
私の描きかけのキャンバスをまじまじと見ている。


「うん。星空をね、描いていたの。」
「すごく綺麗だね。」
「本当?お世辞でも何か照れちゃうな・・・。」
「お世辞なんかじゃないよ。本当にとっても素敵な絵だと思う。」
「もう〜・・・ありがとうインク。」


ふわりと優しく微笑むインク。
彼は私の絵を否定することが無い。
いつも素敵だと褒めてくれるので、お世辞だと分かっていても嬉しくなってしまうのだ。
しかし、彼が私のいるタイムラインに訪れるのは極稀だ。何か特別な事でもない限りは姿を現さない。何かあったのかな。


「今日はどうしたの?」
「ちょっとブルーに用があってね。抜けて来たら、たまたまヒロインが居る所だったから驚いたよ。」
「それなら丁度良いね、今日サンズと絵を描こうって約束していたの。もう少しで来ると思うな。」
「ワオ、ナイスタイミングだ!でも話す時は少し席を外してもいいかな?」
「大丈夫だよ。何なら私が席を外そうか?」
「ううん。家主を追い出すなんて、そんな事出来ないよ。」


ドン、ドン、ドン!
ドアを力強く、リズム良くノックされる音が聞こえる。
音の鳴っている玄関の方へ向かい、ドアを開けるとサンズが立っていた。


「Hi!ヒロイン!」
「いらっしゃいサンズ。入って入って。」
「お邪魔しま〜す・・・ムェ?インク!インクじゃないか!」
「久しぶり、ブルー。」
「ムェ〜久しぶりだ!インクもヒロインと一緒に絵を描くのか?」
「ん、ちょっと君に用事があってね。少しだけ時間、いいかい?」
「いいぞ!ヒロイン、ちょっと待っててくれ!」
「はーい。」


二人を話が出来る様な小さい部屋に案内して、お茶とお菓子を出してあげた。
インクはベイクドチョコレートを一つ取って食べていた。好きなのだろうか?それなら次にまた出してあげられるように、覚えておこう。
私は絵を描く部屋に戻り、再び椅子に腰掛けてキャンバスに向かった。


***


「お待たせ。戻ったよ。」


インクに声を掛けられ、色を塗っていた手を止める。


「おかえりなさい。もういいの?」
「うん。話は綺麗に片が付いたからね。」
「折角だから、インクも一緒に絵を描かないか?ヒロインは教え方が上手いのだ!」
「へぇ、そうなんだ!じゃあ少しだけ・・・周りに見られない程度でお邪魔しようかな?」
「そんな・・・絵はインクの方が断然上手でしょ。私なんかじゃ、」
「僕もヒロインに教わってみたいよ。ね、いいでしょう?」
「んー・・・ok.下手くそでも笑わないでよ?」


決まりだね、と言ってインクは自分の画材を広げた。
揃っている物が圧倒的に私と違う・・・
近くにあった新しい画用紙を取り出して、インクとサンズに一枚ずつあげた。
何を描こうか?
三人で腕を組みながら考える。


「あ!」
「何だ何だ?良い物があったのか?」
「良い物と言うかって感じだけど・・・無難に好きな物を描かないかい?」
「王道だね。いいんじゃないかな。」
「好きな物か!okだぞ!」


よ〜し、描くぞ〜!
僕も集中しようかな。

あれ?結局教えない流れかな?


***


「ヒロイン〜上手く曲線を描けない・・・。」
「丸を描きたいの?そういう時は手元じゃなくて、最終地点を見て線を引けばいいんだよ。こんな風に・・・」
「おおっ綺麗だ!俺様も・・・・・・ムェ〜!出来たぞ!」
「凄い凄い!上手だねぇ。」


サンズは所々、私にアドバイスを求めて話しかけてくる。
一方インクはと言うと画用紙から離れることなく、黙々と描き進めているようだ。流石だ、集中力が違う。
私も描き進めようと自分の画用紙に視線を戻した。


チラッ

「・・・」

チラッ

「・・・・・・」

チラッ


「・・・どうしたの、インク?」
「へ、何が?」
「さっきから私の事見てない?」
「そんな事ないよ。」
「そう?あ、インクはどれぐらい描け・・・」
「わぁっ!?まだ見ちゃ駄目だよ!」
「えっ、ごめんなさい。」
「まぁまぁ・・・描き終わってからの楽しみにしておいてよ、ね?」
「お、okay.」


インクの描いている物を覗こうとしたら、彼は慌てて上半身で画用紙を覆った。
描き終わるまでの楽しみかぁ、どんな大作なんだろう!
ウキウキしながら私は再びペンを握り、描き進めた。


***


出来たー!
サンズが一番に声を上げた。


「描けたぞ!グレートなオレ様のイラストを見よ!」
「わぁ、これは・・・美味しそうなタコスだね!とっても上手に描けてるよ。」


サンズは自分の画用紙を頭上に掲げる。
可愛らしいタコスの絵と、その横にはサンズの絵が(イケメン度増しで)描かれていて、なんとも彼らしい作品で微笑ましく思えた。


「ヒロインは描けた?」
「私はインクが描き終わってから見せようと思ってね。」
「ムェッ、インクは終わったのか?」
「ん、ちょっと待って。こうして・・・よし、出来たよ。」


インクはドラムロールを口で発しながら、自分の前に画用紙を裏返した状態で持って行く。


「Tada〜♪」


絵の描かれている方に裏返された画用紙。
そこに描かれていた物は


「これはっ!」
「・・・私?」
「そう。上手く描けてるよね?」


絵の中の女性が身に着けている服も、髪型も、顔も全て私だ。
誇らしげにその絵を私達に見せるインク。


「インクはヒロインの事が大好きなんだな!」
「勿論。ヒロインは大事な友達さ。」
「わぁ・・・すごい、嬉しいなぁ。サンズはどこかに描いてないの?」
「・・・。」
「・・・インク。」


サンズがジト目でインクを見る。
さぁ、ヒロインも見せてよ!と誤魔化すようにして、インクが私に絵を見せるよう促してきた。
私もインクと同じようにドラムロールを発して、Ta-da! 二人に見せる。


「オレ様だ!」
「僕もいるね。」
「あんまり人物画って描いたことないんだけど・・・私も二人が好きだから描いてみたの。どう?」
「ムェ〜!オレ様もヒロイン大好きだぞっ!」
「あはは・・・同じ事やったのに、何か照れちゃうな。」


サンズが私にハグをしたのを見て、インクも同じくハグをしてきた。
ハグ返しと言わんばかりにまとめて抱き締めると、二人は照れ臭そうに頬を掻いた。

二人とずっと友達でいれたらいいなぁ。そう思った秋の一日だった。



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海外では○○の秋って言わないみたいですけど・・・見逃してください
(2017/10/25)