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「ねぇヒロイン、この服着てみない?絶対似合うと思うんだ。」
「何だその服・・・悪趣味すぎるだろ・・・。お前にはこっちの方が似合う。」
ふわっと二着の服が差し出される。
インクのはフリフリのふわふわで甘いロリータのようなワンピース、一方エラーのは清潔感溢れる所謂清楚系なワンピースだ。
「Uh-,二人には悪いけど、今の服で満足してるんだ。」
「え?そんな色気もセンスも無い服で満足なの?冗談きついよヒロイン〜。」
「すごくディスられたんだけどどうして?確かにセンス無いけどさぁ・・・!」
「センスが無くたって、ヒロインにはどんな服も合ってるぞ。」
「優しい言葉をくれたと思ったらエラー、君もそう思ってたんだね・・・。」
こっちの方が、いやこっちが・・・
私の「別に今のままでいい」という意見をそっちのけに、二人が口論を始めた。
「エラーだって、実はこの服を着たヒロインが見たいくせに。」
「ヒロインは何でも似合うからいいんだよ。」
「なら、こっちだっていいじゃないか。そんな量産型女子の服なんかより、こっちの方が断然映えるよ。」
「・・・消し飛ばされたいか?」
「まさかぁ、君の心の内を訳してあげたのさ。ヒロインこれ着てよ。ほら、エラーも見たいって言ってるし!」
「言ってない!」
「hmm・・・こんな服、人生で一回も着たことないからその、抵抗が半端ないなぁ。」
「一世一代の大チャンスかもしれないよ。ほらほら、着てみて!」
確かに。大袈裟かもしれないけど、今後絶対着なさそうなこの甘々ふわふわな服。
普段着としてであればそりゃエラーの方を選ぶけど、ここまで背中を押されるなら・・・。
不服そうなエラーを尻目に、インクから服を受け取って、着替えられそうな場所に移動した。
普段着ている服をぱさぱさと脱いでいき、下着だけの状態になる。
さて、どうやって着ればいいんだろう?まずそこから分からないとは。
服のフロントやバック、袖などを目視すると、ちょっと失敗したら破けてしまいそうな構造にも見えた。慎重に着替えなきゃ・・・。
「〜♪」
「おい、何する気だ。」
「ちょっと目の保養をしに行こうと。」
「目がハートになってるんだが・・・今なら拳一発で勘弁してやらんこともない、馬鹿な真似は止めろ。」
「力でどうにかしようなんて野蛮だなぁ。ちょっと肩の力抜いてごらん、楽しいよ。」
「hah・・・よっぽど死にたいようだな、レインボーアスホール君よ。」
「僕はそんな挑発に乗らないからね。」
「その割には構えてるじゃないか、ん?」
ダァン・・・
あっちの方から大きい音が聞こえてくる。二人とも待ちくたびれちゃってるかな。
可愛らしいデザインのタイツを履くところからもたもたと着替えていたら、もう15分も経過していた。
後は、このヘッドドレスを着ければ着替え完了だ。よく見たらうさぎの垂れ耳になっている。
どうしよう、着け方が分からない・・・。そうだ!エラーに着けてもらおう。
白いおでこパンプスを履いて二人の所に向かおうとするも、着慣れていない服で動きに規制がかかっているような感覚に襲われる。
慎重に、小股で少しずつ歩いた。
***
ドォン!
地面一帯が、青い糸と黒いインクで塗れている。・・・何で?
「そんなんじゃ当たらないなぁ・・・もっとヒロインに想いをぶつける感じで来なよ!」
「お前に何が分かる!今ここで消す、全部消してやる・・・っ!」
「Ahaha!捕まえてごらーん!」
ようやく二人の元まで辿り着くと、何故か乱闘が繰り広げられていた。
ビュンビュンと二人のアレコレが飛び交う。これ以上近づいたら巻き込まれてしまいそうだ。
しかし、今ここで私が声を掛けなければ何も解決しないかもしれない。意を決して、大声を張り上げる。
「インク!エラー!終わったよー!!」
「はっ、ヒロイン? ワオ!sooooo cute!いいね!」
「何処見てやが・・・なっ!?ヒロイン・・・。」
「エラーにお願いがあるんだけどー!」
「お、俺?」
動きを止めて、私の前まで降りてくるエラー。
目を上へ下へ動かして、今の私を見ている。いくら何でもこれはやっぱり私には似合わないよね、分かるよ。
目線が泳ぎ始めて、ふいっとそっぽを向かれた。
そこまでとは・・・申し訳ないけど、一応頼んでみよう。
「これの着け方が分からないの。着けられる?」
「何で俺なんだ。」
「エラーは器用だったよね。どうかな、着けられそう?」
「・・・じっとしてろ。」
「え〜、エラーばっかりずるくない?役得め!」
「うるせぇ、気が散る。」
「ブー!」
頭にエラーの手が届くようにしゃがむ。
脚全体がワンピースでふわりと覆われて、まるで童話のお姫様にでもなった気分だ。
くしゅくしゅと頭を撫ぜられているようで、少しくすぐったい。
出来たぞ、とエラーが言う。持ち合わせていた手鏡で見ると、綺麗にうさぎの垂れ耳が頭に乗っていた。
「すごい・・・やっぱりエラーは器用さんだね。ありがとう!」
「本当に可愛いよヒロイン!スケッチしたいな、こっち見て!」
「ええ・・・は、恥ずかしいなぁ・・・。」
「似合ってるから堂々としろ。変に恥じらってると、あいつが調子に乗る。」
「チッ、余計な事を・・・エラーアスホール・・・。」
「Ah?」
再び開戦してしまいそうな雰囲気だったので、間に割り入って二人を宥める。
大人しくインクは今の私を描き始め、エラーは私の隣・・・より少し離れた所に座った。
「次は、あれも着てみてくれよ。」
「あれ?あ、エラーがくれた服かな。」
「yep. ・・・ヒロインに似合うと思って、作ったから。」
「そうなんだ。ふふふ、ありがとう。これが終わったら着替えてみるよ。」
「・・・ああ。」
「エラーって美味しい所持っていくのだけは上手いよね〜。」
「何だと?」
「ああー、もう!二人は何でそうすぐに喧嘩始めるの!」
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仲良く喧嘩しな
(2017/11/06)
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