「あー!またこんな所で油売って!」
「よぉ。今日も沢山雪かき出来てるじゃないか」
「雪かきだと!?オレ様が……無意識の内にそんな良い事をしていたなんて!って、そうではぬぁああい!」
「あの、どちら様でしょう?」
「今に分かるって。 なぁパピルス。目に雪でも入ってるのか?」
「へッ?どういうこと?」
「もしそうならちゃんと取り除かないと。そのまま放って置けば、寒さが全身に"行き"渡って、地獄"行き"だぜ。雪だけに!」
「ふっ…!」
「うわっ…今まさに地獄に行った気分だ…それに兄ちゃんの格好も見てて寒い…ん?兄ちゃん、隣のは?」
自然な流れで駄洒落を持ち込むスケルトンさんと、それを否定しつつにやけ顔になっている正面の…パピルスさん?
兄ちゃんということは私の隣にいるこのスケルトンさんはパピルスさんのお兄さんなのか。
私の存在に気付いたパピルスさんが目線をこちらに向けると、スケルトンさんが「あー」と声を上げた。
「これはライターさ」
「ライター?火を点けるあのライター?」
「ちょ、そんな適当な…」
「喋った!ライターが喋ったよ!兄ちゃんのライターは喋るのッ!?」
「そう。ちとばかしこいつは特殊なライターでね。パピルスも気に入るかもしれないな」
「すごいッ!オレ様にも触らせて!」
雪の道をずもずもとかき分けるようにして、私の前までパピルスさんが歩み寄る。距離があって背の高さが分からなかった分、近くに現れると大きく感じた。
まじまじと、興味津々で私の顔を見るパピルスさん。理科室の骨格標本が目の前にいるようで少し怖い。
名乗った方がいいだろうと思ったので、いつも通り名刺を取り出して目の前の彼に渡した。
「は、初めまして。私こういう者です」
「わあ、挨拶も出来るんだ!本当にライターって書いてある!初めまして、兄ちゃんの服を着たライターさん!」
「地上の落とし物らしい。仲良くやってみたらどう?」
「ふむ…ライターさん、パズルは好きか?」
「パズル?んー…はい、好きな方ですよ」
「うひょう!なら一緒にやろうではないか!オレ様は準備して待ってるから、兄ちゃんに案内してもらって来てね!」
ニャッハッハッハー!と何とも不思議な笑い声と共に去って行くパピルスさん。
どうして私が人間だとバレないというよりかは、分からなかったのだろう?一人疑問符を頭に浮かべていたら、スケルトンさんが私の顔を見てこう言った。
「弟のパピルスはな、まだニンゲンを見たことがないんだ」
「あ、なるほど。ええと、今からどうすればいいでしょうか?」
「オイラに着いてくればいいよ。なぁに、心配しなくともアイツは直に気付くさ。多分な」
「そ、そうだといいですね。それじゃあ、道案内をお願いしても?」
「勿論。 そうそう、オイラの名前はサンズってんだ。アンタは……暫くはライターちゃんって呼ぶか」
「ライターちゃん…」
あながち間違いでもないので、その時が来るまでは名前を呼んでもらうのを諦めよう。
サンズさんと呼ぶと「さんなんて要らない」とウインクしながら返してくれた。彼の気さくさにモンスターの怖いイメージが段々と薄れていくようだ。
近道を使うと言って私の手を引くサンズ。ビュンッと風を切るような音がした途端、周りの景色が一気に変わっていた。これも魔法かな?すごい、何度も言うがモンスターってすごい!
再びワクワクしてきた私の様子に気付いたのか、サンズがちらりとこちらを見てから呟く。
「嬉しそうだな」
「バレました?モンスターの魔法を体験出来たのが嬉しくて」
「大した物でもないがねぇ…楽しめてるなら何よりだ。 それで、この先にパピルスが待ってる。オイラもあいつの側にいてやらないといけないんだ」
「あ、でしたらお構いなく。すぐ追い付きますので」
「へっ、頼もしいこと。ほんじゃ、あっちで待ってるよ。」
サンズが足早にパピルスさんの待っている方へ向かって行った。
パズルかぁ。会社の雑誌でも何度かクロスワードを載せていた時があったけれど、あまり人気が出なかったから結構早くに取り下げられたっけ…
軽い脳トレと暇つぶしが出来て、私は割と好きだったのにな。
彼らはどんなパズルを用意しているのだろう。ワクワクしながら彼らの元へ向かった。