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初めまして エマ

うん とっても   らしくて良いね

僕の事 分かるかい?

そう 僕の名  前   は


***


…あ
水の流れる音がする。
意識が段々ハッキリしてきて、静かに目を開けて上半身を起こしてみると、色とりどりの花が私の周りに咲いていた。
咲いていると言うよりも、水辺に浮かんでいるようにも見えるけれど。今度こそ本当に死んじゃったのでは?
重い腰を上げて立ち上がると、眩暈が襲った。あのサンズ達の前で倒れた時の眩暈と似ている…
奇跡的に一緒に落ちてくれた自分のバッグを肩に掛け直す。ゆっくりと覚束ない足取りで一歩、前へ踏み出してみたら少し足が沈んで、思わず小さく悲鳴を上げてしまった。

「わっ」

そんな小さな声でさえ反響して聞こえる。ここはどこ?
先へ先へと進んで行けば、何か大きなガラクタみたいな物が沢山放置されている場所のようで。
モンスターのゴミってどんな物だろう。普通に生活しているようだし、やっぱり人間と同じような物なのかな。放置されている物を少し興味本位で漁ってみた。
……興味よ、興味。決してゴミ漁りが好きとかじゃないんだから。少しずつつまむようにして漁ってみると、何と見覚えのある紙切れが。


「…私の記事だ…」


そう。私が初めて本誌に掲載してもらった時の記事のページ1枚がそこにあったのだ。
どうしてよりによってこの1ページなの。というか、このゴミ全部地上から流れ着いてるって事?
もしかして地上まで後少しの距離なのではないだろうか、と期待を胸に抱いた。


***


ゴミの滝を越えて歩いて行くと途中、亀みたいなおじいちゃんモンスターに声を掛けられた。
お店をやっているようだけれど「先行く旅人のお嬢ちゃん、年寄りと少し話でもどうかな」と言われ、とんでもない釣りね。私は喜んで飛びついた。
聞きたい事があるなら答えてくれるというお言葉に甘えて、貴方は何者なのかとか、王様の事だとか、ここでの生活だとか…
それはもうマシンガンのように質問攻めをしてしまった。(でも私は満足、おじいちゃんも嫌がってなさそう、だし…)
おじいちゃんは王様の事をフワリン王となんとも可愛らしいあだ名で呼んでいて、怖い王様のイメージから一転、ファンシーな印象へと変わった。


「そういえばお嬢ちゃん、何だか似ておるのう」

「似てる?何にでしょうか?」

「アンダインがついさっきここへ来て、お嬢ちゃんのような格好をした者を探している言うておったんじゃ」

「えっ、」

「あの子はここらじゃ、ちょっとしたヒーローでな。不屈の精神と決意一つでロイヤル・ガードのトップに上りつめた。」

「へえ…そ、そうなんだ。格好良いですね…」

「くれぐれも気を付けなさいよ。人違いで狙われたのだったら、ただじゃ済まんからな。ワッハッハ!」


本当にただじゃ済まない。おじいちゃん笑いごとじゃないのよ、それは!
未だに追われているという事実に恐怖が襲って来て、ぞっと身震いをするのだった。


***


おじいちゃんの所を後にして暫く歩みを続けると、壁の石盤のような物に文字が刻み込まれているのがいくつか見えた。
一つ一つ、歩きながらその文字を読んで行くと気掛かりな事があった。
七人の人間の魔術師が地底にモンスターを閉じ込めただの、この地底の世界には入口も出口も存在せず、人間が現れる事が無いだの。
私がこれまで聞いたり見たり、経験してきたのとあべこべになってしまうような内容だ。

段々自分の中で上手く整理が出来なくなってきた。
何が正しく、何が違うのか?それとも全て正しくて、私という物が……いや、そんな漫画やゲームじゃないんだから。ありもしない事を考えたってね。
辺りを見回し、再びアンダインさんがいないかの確認をしてから、持っていたノートにこれまでの事を纏めてみることにした。