(DV表現注意)
「ねぇアンタ、何か面白いことしてよ。」
「い、嫌です。」
「はぁ?口答えしていいと思ってんの?」
私、何でこんな所にいるんだろう。
目の前にはサンズとパピルスに似ているけれど、格好と雰囲気が全く違う二人の骨モンスターがいる。
サンズ?は目に傷、赤いマフラーに破けたような黒い服。おまけに高めのヒールの赤いブーツまで履いていて。
パピルス?は尖った歯に金歯、ワインレッドのニットに黒いコート、それから首輪が付いている。
・・・そういうプレイ?何だか二人の雰囲気が怖いので、流石に言い出せない。
「私は、私ですから。」
「何それ、意味分かんない。ドギー!」
「な、何?ロード。」
「・・・ドギー?ロード?それが君達の名前?」
「ヒィッ!?(名前呼ばれた・・・こわいこわいこわい)」
「チッ、気安く呼ばないでくれる?」
「ええっ・・・すいません。」
聞いただけなのに怖がられたし、舌打ちをされた。何て理不尽なんだ。
そして、やはり私の知っているサンズとパピルスじゃないということは分かった。スケルトンって他にもいたんだなぁ。
それにしても慣れ親しんだ顔に似過ぎではないか。この種族は皆似るのだろうか?
なんて呑気なことを考えていたら、急に服の襟刳りをグイッと引っ張られ、思わず「ぐぇっ」と声が出た。
「うわっ、色気の欠片も無いな。」
「いきなり引っ張られたら、あんな声しか出ませんって・・・。」
「まぁ、いいケド。次は悲鳴でも上げてよね。」
「は、はぁ。」
どんなことをする気なの。それに次もあるという事にびっくりだ。
ロード様(様にしたら怒られないかと思って・・・)が掴んだままの襟刳りは、今にも伸びてしまいそうだ。
出来ればそれだけは避けたい、どうにか解放してほしい。
「あの、離していただけませんか。」
「何で?」
「襟が伸びそうなので。」
「ふーん。」
「ふーんじゃなくて、」
「ドギー、ちょっと来い。」
私と目が合わないよう端っこに避難していたドギーくんは、忠実にロード様の所に歩み寄る。
ドギーくんが椅子に座っているロード様の目線になるよう屈んだ姿勢を取ると、ロード様が私と同じようにドギーくんの首輪を掴んでグイッと自分の方へ寄せた。
可哀想、と思ったのも束の間。ドギーくんは嫌な顔せず、寧ろちょっと喜んでいるような反応を示した。
やっぱりそういうプレイなのか・・・にしても、私のことはスルーなんだな・・・。
「この人間にも首輪着けるから、何か適当に調達してこい。」
「わ、分かった。行ってくるね・・・。」
「いやいや、何でですか!?」
「人間なんて珍しいし、甚振りがいがありそうだし。今日からアンタはボクの物だよ。」
「そんな勝手に話を進められても困・・・ぐっ!」
「だーかーらー、もっとイイ声出せって言ってんじゃん。」
ロード様はつまらなさそうな顔をして襟刳りから手を離した。
やっと解放されたかと思えば、今度は白く細い指先が私の頬から首、首から鎖骨、鎖骨からうなじへとゆっくり移って行く。
何だか気味が悪くて、ぞっとした私の身体が、条件反射でびくっと跳ねる。
「へぇ・・・そういう反応も出来るんだ?」
「これは条件反射と言いますか、何と言いますか・・・」
「そういうの、ボク大好き。もっと見せてよ。」
そう言うと、私のうなじを這っていた指先が再び前方に回る。
片方の手も首に伸びて来たかと思えば、ぐっ!と力を込めて首を絞められた。
驚きと同時に息苦しさが襲い、目からは涙が滲み出てくる。声が出せないので、私はどうにか目線で止めてくれと訴えた。
「っ!・・・かはっ、」
「アハッ、いいね。もっと睨んで見せてよ。反抗的にさ?」
「ち、が・・・ッ、」
睨んだと受け取ったらしい目の前の彼は、更に力を込めるように私の首を絞める。
私は残る力で自分の腕を動かし、彼の手を力無く掴む。離してくれと言うように、私の首から離そうと試みる。しかし、それは逆効果だったようだ。
「何?この手。離してほしいの?」
「っ、」
「ばぁか、離してなんかやらないよ。今ボク、最っ高に楽しいんだから!」
まずい。これ以上されたら―
頭に酸素が行き渡らず、目の前がかすみ始めた。堪らず意識を手放してしまいそうになる。
いや、これもう、無理、だ
「・・・あれ、本当に意識飛んだ?」
「・・・」
「エッ、ちょ、演技でしょ?」
「・・・」
「・・・ドギーーー!!!」
***
「―ぁっ、」
ふっ、と目が覚める。
あれ、私・・・
「ヒッ・・・あっ、め、目・・・覚めた・・・?」
「ドギーくん?ここ何処?」
「え、えぇっと・・・ここは・・・」
「ボクん家。」
「ろ、ロード様・・・」
「は?様とか気色悪いんだけど。後、気安く呼ぶな。」
コツコツとヒールの音を立てて、ロード様がドギーくんの後ろから現れる。
「様」もお気に召さなかったようだ。
あんな事をした挙句、家に連れ去るなんて・・・これは俗に言う持ち帰りという物では。
私はこれからどうなってしまうのだろう。開放してもらえるのだろうか・・・。
先が思いやられると感じ、溜め息を吐いた。すると首元から金属が擦れるような音がして、何だろうと目線を下げて確認する。
私の目に映ったのは、寝ていたベッドと鎖で繋がれた赤い首輪だった。
あ、これは逃げられない。もう察しは付いているが、念の為確認してみる。
「これ、何でしょうか。」
「そんなのも見て分かんないの?どう見たって首輪でしょ。」
「ですよねぇ!」
「アンタを今日からウチで飼ってやるんだから、感謝してよね。」
何を感謝しろと言うのだろう。
訳も分からずこの見知らぬ土地に飛ばされて、訳の分からないままスケルトンにペットにされて・・・何一つ感謝する要素が見当たらない。
絶望的だという顔をする私に、ドギーくんがおずおずと怯えながら話しかけてきた。
「あ、あの・・・」
「うん?」
「その・・・ろ、ロードは君の意識飛ばしちゃった後、つ、付きっきりで・・・」
「ちょっと、駄犬!?」
「あうっ、ご、ごめんロード・・・!」
ドギーくんが話している途中で、ロードが大声を張り上げて話を中断させた。
付きっきりで、何だろう。その続きが一番大事なんじゃない?
「ったく・・・アンタも駄犬なんかの話に耳傾けんじゃないよ。」
「そんな、ただドギーくんが話したそうだったからなんだけど。」
「・・・。フンッ!」
ロードは不機嫌そうな顔をして、部屋の外へ出て行った。
部屋にドギーくんと二人取り残されたが、ドギーくんは急いでロードの後を追おうと椅子から立ち上がる。
部屋を出る前に「あっ」と声を漏らして立ち止まり、こちらを振り返った。
「さ、さっきの続き・・・ロードは付きっきりで、君の手当てしてくれたんだ。」
「えっ?」
「お、俺も、一緒だったんだけど、途中からロードが一人でやるって・・・そ、それだけ・・・」
そう言い残すと「じ、じゃあっ」と逃げるようにドギーくんも部屋の外に出て行く。
ふーん・・・意外と優しさは持ち合わせてるのかな?可愛いところもあるんじゃない。
取り敢えず今はこの状況をどうしようもないと悟ったので、大人しくしていようと思う。
いつ帰れるんだろうなぁ・・・やることも見当たらなかったので、不安に駆られながらも再びベッドに潜ることにするのだった。
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(2017/09/21)