やっぱり!それ以下だった話
べったり
そんな効果音がよく似合う、今の状況。


「ねぇ」
「んー?」
「触っていいとは言ってないんだけど、なっ!」
「いでっ!手っ取り早く惚れてもらうには身体でのスキンシップを図るのが一番だと思いまーす!」
「無いですね、無いです。断固拒否だし、今までの約束はそのままだから。ほら離れた離れた!」
「え〜…堅すぎかよ…」


あれからというもの、パピルスのスキンシップが増えた。
一日目は、サンズと一緒に料理をしている時に急に腰に抱き付いてきたり(肘落としで対策)
二日目に遊びに来てくれたキャラとソファーで対談している時に、急に現れて膝枕を強制的にさせられたり(紐攻撃で対策)……
触れることが一番手っ取り早い?そんなのお断りだ。
そして三日目の今日。相変わらず彼に超絶近い距離で引っつかれている。額を掌でべちっと叩いて、距離を取った。


「そろそろお買い物に行かなきゃ」
「じゃあ俺も〜」
「嫌だよ。どうせさり気無く手でも繋ごうとか考えてるんでしょ」
「ん、ん゛んっ!まっさか。重い荷物を持ってあげるのが、紳士の役目ってモンさ」
「はいはい。じゃあ紳士さん、手出ししないのなら付いて来ることを許可するわ」
「heh…仰せのままに、レディー」


ほんと、調子が良いんだから。


***


買い物リストにメモしていた物たちを、カゴに入れて行く。
私がカートを押してその隣をパピルスが着いて歩いている。目当ての物を見つけると即座にカゴに入れてくれるので、一人の買い物よりは幾分か楽だ。


「後はスープとそれから…蜂蜜もか。パピルス、蜂蜜は自分で好きなのを……」


隣にいたはずのオレンジ色がいつの間にかいなくなっていた。
まさか迷子に?いい歳(?)してそれはないか。じゃあ何処かで立ち止まってそれを見てる?
来た道を戻って行くが何処にも見当たらない。嘘でしょう、ダンジョン入りじゃないんだからさ。
各コーナーを覗いてみるも、お互いに探しているのかすれ違っているのか…

細いコーナーを横切ろうとしたら、見慣れた緑色に黄色いボーダー模様の服が見えた。


「キャラ」
「Hi,ヒロイン。奇遇だね。」
「そっか、ここお菓子コーナーなんだ。パピルスを見てない?」
「パピルス?hmm,見てないなぁ。この中にいるの?」
「うん。はぐれちゃって…見てないならいいの」
「待って、わたしも一緒に行くよ。ゲス野郎がヒロインに何をするか分からないから」
「はは…頼もしいね。でも大丈夫だよ、また今度一緒に遊ぼう?」


不服そうな顔をするキャラの頭を撫でてあげて、お菓子コーナーを後にした。
カートを押して再び特徴的なオレンジ色を探すが、どれだけ探しても見つからない。

歩き疲れた・・・ちょっとだけ休憩しよう。設置されているベンチに腰掛けた。
どうしてこんな手間を掛けさせるの。パピルスの馬鹿、蜂蜜脳。脳味噌あるのか知らないけど。
一人むくれて足元を見ていたら、私に影が覆った。


「やっと見っけた」
「…こっちの台詞なんですけど。」
「悪い悪い。でもほら、スープと蜂蜜取ってきたよ」
「はぁー…ありがとう。閉店まで見つからないかと思ったんだからね」
「お互いにすれ違うなんて、漫画チックで面白いじゃん。ちょっくら会計済ませて来るから、ここで座ってていいよ」


カートを押してレジへと向かって行くパピルス。
何だ、気の利く良い所もあるんじゃない。はぐれたのはまた別だけど。
少し感心しながらオレンジ色の背中を見送る。


***


帰り道
隣で重そうな荷物を持ってくれていたパピルスだったが、段々辛そうに見えてきた。何度も荷物を持ち直す動作が目につく。


「もう、しょうがないな。半分持ってあげる」
「いーや大丈夫さ。ここでいいとこ見せないとな」
「変に無理される方が私は嫌だよ。ほら、半分こ半分こ」
「hmm・・・ok,半分こね」

二人でエコバックの持ち手を片方ずつ持つ。小さい頃にこんなことをしたな、と懐かしく感じた。
パピルスが私の歩幅に合わせて歩いてくれているのは分かっている。それに元々、彼は良い人だ。第一印象を除いては。
元の世界のあの人もとても優しい。不器用極まり無かったけれど私にはきちんと伝わっていた。
やっぱり何処となく重なる部分はあるが、別物別物…
そんな事をぼんやり考えていたら、急にパピルスが「いでででっ!」と声を上げた。


「な、何?」
「危なかったね、ヒロイン」
「あれ、キャラ?」
「いっつー…!何すんだよクソガキ!」
「誰がクソガキだこの変態ゲス野郎!こいつ、ヒロインのお尻触ろうとしてたよ!」
「へぇ」
「いや、ほら、片手が寂しがってたんだ、何も無いよ〜何か触りたいよ〜って。だから、な?」
「ははは。面白い事を言うのね、パピルス」


やっぱり、彼はそれ以上にはなれない。
キャラと二人でパーカーの紐を片方ずつ締めた。



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(2017/11/15)