近所の駄菓子屋で一番安い氷菓を買って、川土手の草むらに腰を下ろす。夏休みに三人で遊んだ日はこうして幕を閉じるのが、昔からの私たちの習慣だった。
薄っぺらいビニールの包装を破り、水色の棒付アイスを取り出す。かじりついたそれは、昔から変わらないしゃくっという音をたてて、私の口内に落ちた。まだまだ暮れない夏の太陽が、容赦なく私たちの肌を焼いてゆく。

「明日プール行こうよ」

私が急激に冷えた唇を動かしてそう言うと、秋也と慶時はにっと笑って私に賛同してくれた。明日はお昼から学校のプールに行って、また帰りにこうやってアイスを食べて。
来年の夏はきっと、高校受験でこうはいかないんだろうな。そんなことを頭の片隅で思った私の隣で、慶時が「あっ」と声を上げた。いつもににこにこ笑って、自分の主張なんて全然しない慶時のその声に、私は思わずびくりと肩を震わせてしまった。驚きから目を見開いてそちらを振り向く。慶時は至極嬉しそうに笑って、こう言った。

「やった、あたりだ!」

ほんとか! と言いながら慶時のアイスの棒を覗き込んだ秋也に少し遅れて、私も彼の手元に体を寄せる。三人で身を寄せ合うと蒸し暑さもひとしおだったが、そんな些末なことは置き去りにして、私たちは笑った。来年のことなんて、今は分からなくてもいいや。


土潤溽暑;つちうるおうてむしあつし
土の中の水分が蒸発し、非常に蒸し暑くなる季節




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