屋上からの眺めを常に独占している桐山くんたちの気持ちが、今ならわかる気がした。
西の稜線に沈んでゆく太陽が、雲の隙間からオレンジ色の光を投げかける。その温度を伴わない赤金に、城岩の街は服従するしかない。
この光景は、秋の夕暮れ、などというやさしいことばで形容できるようなものではない。
暴力的だな、と私は思った。抗うことなんてできるわけもなく、私たちは真っ赤に染まる。
「桐山くんも人を殴ったりするの?」
私の隣で赤く染まった城岩の街を見下ろす彼に、そう尋ねてみる。すると彼は、相変わらずの美しいまでに無機質な声で「必要があれば、そうする」とごく短く答えた。
とくに面白みのある返答ではなかったので、私はそれ「へえ」と軽く流して、そのまま夕焼けに蹂躙される故郷を見下ろすことに徹した。
きっと私も、そして桐山くんも、この街と同じように赤金色に染められているに違いない。
取るに足らないちっぽけな私も、お金持ちで何でもできる不良の王様の桐山くんも、この赤光からは逃れられないのだ。
くつくつと低く笑った私に、桐山くんが「どうして笑っているんだ?」と感情のない声で問いかける。私はそれに、笑いながらこう答えた。
「べつに。秋の夕暮れだなあと思って」
楓蔦黄;もみじつたきばむ
もみじや蔦が色付いてゆく季節
←