俺があいつを守るんだ。ずっとそう思って生きてきた。それが俺の生きる意味、目的だったから。
双子の弟はよく泣いて、よく笑って、怒ることすらできない俺の代わりに怒るような優しい子だ。いつも後ろを歩いてついてくる弟に迷わないよう手を差しのべるのはこの先もずっと変わらないのだと思っていた。だが、今こうして俺は生きる理由を失いかけている。
セルが産み出した小さな生命体に地面へと叩きつけられ意識が朦朧とする。立ち上がらなければ弟を守れない。俺が守ると決めた。生まれたときから喜びも哀しみも、怒りでさえも感じることができなかった俺が唯一見出だした生きる意味。
「ご、悟飯……ッ」
ずっと、後ろを歩く弟を見守ってきた。頼られることが当たり前になっていた。だから、逞しく成長したその背中を真っ直ぐに見たのは初めてだった。
俺は自分が超サイヤ人になれないことを知っている。それでも弟との差は感じていなかった。いや、認めたくなかっただけなのかもしれない。目の前に立つ弟は超サイヤ人をも越えた姿でそこにいる。もうお前には俺の手は届かないのだろう。必要ないのだろう。俺が守ってやりたかった。優しいお前を、ずっと。
「お兄ちゃんはボクが守る」
悟飯。いつから、お前は俺より前を歩いていたんだ。弟を守れず、弟よりも強くなれないことを理解っている俺はこれからどう生きていけばいいのだろうか。