歪な関係


 乱れたシーツの上で寝返りをうつと鬱血痕の残る背中がよく見えた。ベッドの縁に座ってシャツに腕を通しているのは、先ほどまで自分が組み敷いていた青年だ。弟に、いや親父によく似た顔立ちの甥である。初めて手を出したのは甥がまだ片手で数えられる年の頃で、今振り返ると自分の節操のなさに引いてしまう。そう思うのは地球に長くいるせいだろう。昔のままだったならこうして気にするはずもない。
 戦闘民族であるサイヤ人の自分には恋愛観というものが未だによく理解できないでいる。単純な独占欲や支配欲ならあるが、地球人の言う”好き”という感情であるかは判断できない。ただ、手を伸ばせばすぐに掴むことができる距離にいる甥が、自分以外の誰かに抱かれるというのなら黙ってはいないだろう。こいつはオレのものだと一発二発は軽くお見舞いするに違いない。
 
 遠くから近づいてくる家族の気を感じながらシャツのボタンを締めていく。後ろを振り返ればベッドの上にはまだ裸のままの伯父が横になっていた。強くなるための代価として始まったこの行為は、利益や目的が形を変えながらずるずると今も続いている。伯父と甥の関係にある自分たちの行為が常識から逸しているのは頭で理解している。だが、自分には伯父を拒む理由が見つからなかった。若しくは、見つけようとしなかった。
 幼少の頃から弟を守るために生きてきた。自分がどうしたいのか、どうなりたいのか。それがなにも見つけられず弟を生きる目的にしていたのだ。セルゲームを経て悟飯には遠く及ばないと解ってからは、弟に縋って生きるのはやめようと決めた。しかしどう生きていけばいいのか、感情が充分に備わっていない自分には見つけられない。だからなのか、伯父を弟の代わりにしている。伯父のためにする行動は全て巡り巡って自分のためなのだ。自分勝手な理由で伯父を手放せないからこそ、行為だってなんだって、受け入れるのは当然だ。

 そんな曖昧な関係の上で二人は成り立っていた。