はしゃぎすぎ注意


 今年のブルマの誕生日パーティーは南の島にあるリゾート地を貸し切って行われていた。招待されたいつもの顔触れを横目に、ベジータは少し離れたところにあるビーチベッドへと身を預けている。その表情が険しいのは本当ならこんな浮かれた場所には来たくなかったからだ。しかし強引とはいえ連れて来られてしまったまま帰らずにいるのは、それほど嫌だと思っていないからなのかもしれない。
 照りつける夏の太陽と南の島の気温の高さから、さすがに喉が渇いたベジータは飲み物を取りに行くためビーチベッドから身を起こした。途切れ途切れに聞こえる賑やかな声のする方へと向くと、この場には珍しい二人組がこちらに向かって歩いてきて思わず目を見張る。いつも何かと都合が合わないその二人がブルマの主催するパーティーに顔を出すのは少ない。だがベジータは別にそこに対して驚いたわけではなかった。

「きさまら思いの外楽しんでいるな。なんだその、はしゃいだ格好は」

 なぜならその二人──同族のラディッツとカカロットの息子──がまるでご機嫌な野郎が着るようなアロハシャツを着て、サングラスをかけて、オマケに浮き輪やアイスクリームなんてものを持っているのだ。普段の二人に抱いているイメージとはかけ離れていて少々理解が追いつかない。そんなベジータを見下ろしたラディッツは眉を寄せた。

「この格好がここでの正装ってやつなんだろ?」
「……ブルマの言うことをなんでも鵜呑みにするんじゃない」

 この格好を二人にさせたがるのなんてブルマしかいないだろう。呆れたように溜め息を吐いて目の前の男を半ば睨むように見た。自分よりも早く地球に馴染んだはずなのだがどうもこの男の知見は狭い気がしてならない。カカロットと同じく山奥に住んでいるからなのか、それともラディッツを手懐けた息子の教育不足か。どちらにせよ同族として恥ずかしくない程度には地球の文化を学べと言いたい。
 さらにベジータを驚かせることが起こったのは、なぜ自分がこんなことを考えなくてはならないんだと若干イラつき始めた頃だった。

「おまえ、普段は小綺麗に飯を食うだろうが。なんでこんなに汚れるんだ」
「想定していたよりも溶けるのが早かったんです。今日はとても暑いですから」

 アイスクリームを食べ終えたカカロットの息子の手は溶けたアイスでべとべとになっていた。海にでも入って洗い落とせばいいと口にする前に、ラディッツがその手首を掴み口元まで引き寄せてぺろりと舐めたのだった。ご丁寧にも指の一本一本についた溶けたアイスを舐めとっている姿は情事を思い起こさせるようで生々しい。その行動にぎょっとしたベジータは、一体何を見せられているんだとついに怒りが沸点へと到達した。

「っ、ラディッツきさま! そういうことはよそでやりやがれ!」