その日、ブルマの家には腕時計型変身セットの修理を頼んでいた悟飯と、たまたま未来からきていたトランクスと、甥と一緒に重力室を借りに訪れていたラディッツの三人が揃っていた。
「それにしても二人とも遅いですね」
「女の買い物は長いからな。あいつも断らず律儀に付き合っているんだろう」
「母がすみません。やはりオレも一緒に行くべきでしたね」
「荷物持ちが増えて余計買い物が長くなるだけだ。気にするな」
そこに甥の姿がないのはブルマに連れられ買い物へ行っているからだ。トレーニングのため重力室を借りる手前、断れなかったのだろう。一方ラディッツは声をかけられたのだが、逃げるようにして重力室へと入ったことで難を逃れていた。その時に見たベジータの訝しげな表情は今でも鮮明に思い出せる。
そんなこんなでトレーニングが終えたラディッツは、悟飯とトランクスとともに二人の帰りを待っていた。
「未来でもあの人はよく母さんから頼まれ事をされていますよ。結構無茶なお願い事でも引き受けてくださるので助かってます」
「兄さんは頼りになりますからね。ボクなんか今でも甘えちゃう時がありますよ」
「わかります。オレも兄がいたらこんな感じなのかなって、たまに甘えたくなります。まぁ、恥ずかしくてなかなかできないんですけど……」
「あれでいて意外と世話焼きだからな。未来のあいつもそうなんじゃないのか?」
「えぇ、そうですね。とくに未来の悟飯さんが亡くなってからは、なにかとオレのことを気にかけてくれています。すごく優しい人です」
少し照れながら未来にいる憧れの人を語るトランクス。それに同調するように頷いたのは悟飯だった。
「うんうん。そうなんですよ。兄さんは優しい人なんです。なんで学校の皆は解ってくれないかなぁ」
「あいつが甘いのは身内にだけ、だからだろ。オレに言わせりゃただのお人好しだがな」
「伯父さんは素直じゃないですよね。今一番兄さんを独り占めしてるのは伯父さんなんですよ」
「変な言い方をするな。あいつが勝手にオレのためだなんだと言ってやっているだけだ」
口ではそう文句を言いながらもラディッツの表情は満更でもない様子で、二人のやりとりを見守っていたトランクスは思わず笑みを零した。
「でもラディッツさん、嬉しそうですよ」
「だ、黙れ!」
ブルマたちが買い物から帰ってきたのは、三人の話がさらに盛り上がった頃であった。