お調子者の悟天


 朝からベッドでダラけていた悟天は、ふて腐れた表情をしながら携帯端末の画面に表示されたメッセージを何度も読み返した。飾られた可愛らしい見た目とは裏腹なメッセージ内容に落胆の溜め息を一つ。そうしてなにもせずゴロゴロしているとチチに怒られてしまい、仕方なく部屋から出た悟天は兄の部屋を覗いた。

「兄ちゃんオレの相手してよー。デートの約束キャンセルされて暇になっちゃた」
「外で父さんたちが組手をやっているから入れてもらうといい」
「えーやだよ! 疲れるし汗かきたくないもん」

 結婚して家を出た悟飯とは違い、独身のままこの家にずっといる兄の背に悟天は甘えるように抱きついた。今は咎める者が家にはいないので甘えたい放題なのである。デスクに向かい眼鏡をかけてなにやら書類に目を通している姿から仕事関連のことをしているのだと解るが、悟天はそんなのお構いなしに兄ちゃん兄ちゃんと小さな子供のように呼び続けた。すると、兄は書類の束をデスクの端へと追いやり、別紙を一枚だけ手にとって振り返った。

「これだけ確認してからでもいいか?」
「やった! 兄ちゃん愛してるぅー!」

 合理的な物事の考えをよくする兄だが身内には甘いのか、ちょっと駄々をこねれば構ってくれることを悟天はよく知っているのだ。そして早く仕事を終えてもらおうと抱きつくのをやめてベッドに座って待つことにした弟の浮かれた様子に、忙しのない奴だなと兄は少しだけ微笑んだ。