悟空には二人の息子がいる。双子である息子たちが生まれてからもうすぐ二年が経とうとしているが、まだコロコロとしていて危なっかしい。とくに悟飯はあちこちと動き回るので目が離せない。甘えん坊で泣き虫なところもあるから悟空やチチ、そして双子の兄の姿が見えないとすぐに泣いてしまう。子供とはそういうものだと素直に受け入れている悟空であるが、そうでない子供もいるということも同時に学んでいた。
「おめぇはほんと笑わないなぁ」
そう言って膝に乗せた息子の柔らかい頬をむにーっと指で軽く上に押し上げた。もう一人の息子はとても大人しい子供だった。悟飯のように笑うことも泣くこともなく、一人でいても寂しがることもない。最初はチチもなにかの病気だろうかと焦っていたが、感情が表面に出て来ないこと以外は悟飯と同じように成長していったことでその不安もなくなったようだ。
「よく見るとちゃーんと笑ってるだよ」
子供の頬っぺたはよく伸びるなぁと、目をパチクリさせる息子の頬で遊んでいた悟空の隣にチチが腰を下ろした。その腕には寝ている悟飯が抱かれていて、楽しい夢を見ているのか表情が綻んでいる。一方で悟空の指が離れた頬を両手で抑える子供の表情からはなかなか感情が読み取れず、思わず腕を組んで唸ってしまう。
「んー、オラにはわかんねぇけどなぁ」
「悟空さもまだまだ修行が足りねぇんだな」
悟飯を抱えたままそろそろ寝る時間だと寝室へ向かったチチを見送り、膝の上にいる息子へと視線を戻す。すっかり忘れていたが寝かしつけてくれと頼まれていたのだ。しかし先ほど構って遊んでいたせいか息子は眠そうどころかぱっちりと目が冴えてしまっている。まいったなぁと思いながら息子を抱き上げた悟空が、その表情を読み取れるようになるのはもう少し先のことであった。