「ナマエ殿! お尋ねしたいことがあるゆえ暫し邪魔しても構わぬだろうか」
天気がいいからと外で手持ちのゾロアークにブラッシングをしていれば、ほとんど原型を留めていないほど改造された派手な制服を身に纏う忍者が現れた。スター団のボスの一人、シュウメイだ。騒動が起こる前も、起こった後も、交流したことはほとんどない。
「なんだ?」
「オススメのあくタイプのポケモンを教えて欲しいでござる」
「……お前どく組だろ」
「お察しの通り、我はポイズンを極めし者。さすがはピーニャ殿のご友人。我らのことをよくご存じでござるな」
ブラッシングをする手が止まりゾロアークが不安げにこちらを見上げてくる。安心させるように頭を撫でれば甘えるように体をすり寄せてきた。
本人からすれば嫌味を言っている自覚はないし、そんなつもりもないのだろう。仲間であるピーニャのために行動しているだけ。他人がうっかり世話を焼いてしまいたくなるほどに今の俺たちの関係は複雑だった。あいつは真面目で責任感があるからこういうことは人には頼らない。けれどそれを知った上で支えようとしてくれる仲間がいる。
それが嬉しいようであり寂しくもあった。
「いかがいたした?」
「なんでもねぇよ。あくポケモンだったな。サボネアなんかいいんじゃないか? くさタイプだけど進化すればあくにもなる。単一あくよりは育てやすいし、過酷な環境をものともしない心強いポケモンだ。体中トゲだらけだから怪我には注意し、ろ……」
言いながらシュウメイを一瞥すればコスチュームの間から覗く目元は優し気に細められていて、思わず眉を寄せてしまう。喋りすぎた。ただポケモンの名前を上げればいいだけだったのに。
「ッ、サボネアはロースト砂漠で捕まえられる。あそこにはメグロコもいるから行ってみろよ」
「承知。ナマエ殿、感謝するでござる」
これ以上はもういいだろ、とゾロアークのブラッシングを再開すればシュウメイはニコリと笑って去っていった。その背中を呼び止めようとして、言葉を飲み込む。次は自分から聞きにくればいい、なんてとてもじゃないが口が裂けても言えなかった。