やっっっと25歳になれた…!!!わーーい!と喜んでいると政府から現世へ行く時の注意事項が送られてきた。

・むやみに刀剣の正体や審神者という職業をバラさないこと
・現世へ行く時は刀剣を一振り以上連れて行くこと
・名前に違和感が残らない幻術をかけること
・殺生をしないこと
・刀剣男士の本体は札にして肌身離さず持たせること

まあ納得できる内容だったのでいいか、と思いそうだと思い出す。
…そういえば、通知が来てたな。山本竜二とかいうブラック本丸運営者の居場所を突き止めたって。
そいつの縁を切ってからスイーツでも食べに行くか、と思い立ち上がった。

結局くじで三日月と獅子王を連れて行くことになり、適当に全身コーデして座標を現世に設定し、出かける。あぁ…7年ぶりの現世…!!

「主や、ここはどこだ?」

「なんか臭くね…?」

「うわっほんとだ…くさっ…ここは山本竜二が居る場所、だと思うけど…」

私達が出てきたのは日本屋敷のような本丸のような場所で、とてつもない異臭がする。うーん…嫌な予感がするなぁ。

「三日月、札貸して。獅子王も」

「あいよ」

「あいわかった」

首のネックレスから札を引きちぎり、渡してくれた札を片手に親指の腹を噛みちぎり血をつける。
すると札は刀になり、一本を獅子王に渡す。三日月の顕現は解き、三日月が頭の中に語りかけてくる。

(これは、…かなり酷いぞ、主。大丈夫か?)

「…うん、うん。大丈夫なはず。」

「おいおい、無理すんなよー?」

「ありがとう獅子王。がんばる…!」

勇気を出して襖を開けると、ツンとする程濃い血の匂いと腐敗臭。部屋を見渡すとそこには身体をバラバラにされた刀剣男士やぐちゃぐちゃにされた刀剣男士たちがいた。

「う、」

「吐くか?」

私はその言葉にこくりと頷き、三日月を獅子王に手渡すとトイレらしき所に走り込んだ。
便器の中に胃液を吐き出すが気持ち悪さは消えない。なんだよ、あれ。
水を流し口をゆすいで部屋へ戻ると獅子王が壁にもたれかかって部屋を見ていた。

「獅子王、三日月ありがとう」

「ああ。…しっかしひどい有様だなぁ…みんなピクリともしねぇし。」

「多分どこかに本体が隠されているんだね。…審神者は、あっちだ。急ごう」

「わかった」

音を立てないようにして一つの部屋の前まで行くと、五虎退の泣き叫ぶ声と審神者の醜い声が聞こえた。ぐちゃぐちゃと汚い音も聞こえる。
これはダメだと思い、すぐに襖を開け五虎退を「喰っていた」審神者の左胸に三日月宗近を突き立てる。
霊力を込めると泡を吹き苦しみだしたが気にせず送り終えるととうとう失神してしまっていた。
脚を片方なくして泣き叫ぶ五虎退を横目に、審神者の腹を思い切り踏む。そうすると泡をさらに吹き、きたないので置いといた。
向こうに靄がかかっていたのでおそらく幻術だろう、と思い解くとそこには黒ずんで淀んだ刀剣たちがあった。

「…こりゃ、ひでぇな。」

(あぁ…哀れな人の子よ)

「……」

弔うようにパン、パンと二回手を叩き祝詞を霊力を出しながら言い終えると、刀剣たちはなんともない普通の状態に戻っていた。
とりあえず政府に連絡してから私達はスイーツを食べに行った。いや、あんなの見た後だけどさぁ…お腹すいたし…

たっぷり食べ終えて、さぁ帰るかとなり会計をして、路地裏の方へ歩いているといきなり肩を掴まれた。

「なぁ!!恭子だろ!?」

そこには7年前に別れた愛しい従兄弟が涙目で立っていて、少し話をしなければならないなと思い三日月と獅子王にちょっと待ってて、と言った。
当然新一を巻き込みたくもないし散々お世話になってる工藤夫妻も巻き込みたくないので私は新一を説得することにした。

「新一、久しぶり。7年ぶりだね」

「7年ぶりだね、じゃねーよ!!お前今までどこにいたんだ!!どれだけ俺が探したと思って、」

「しーっ」

私は人差し指を新一の口に当て、話した。

「私ね、今国に関わる重大な仕事をしてるの。私が今この仕事を離れるとみんながいなくなってしまうかもしれない、そんな危険な仕事だから。いつこの仕事が終わるかわからないし帰れるかもわからない。でも頑張るから私が帰るその時まで、その時まで私を探さず探らず、信じて。」

「信じろっつったって…」

「大丈夫、新一ならできるって、いい子だって知ってるから」

新一を抱き締めるとぐずぐずと泣き出した。あらら、私も涙出てきそう。無理。
ぽんぽんと背中を叩いたりさすったり、頭を撫でたりするとぎゅうと抱きしめる力が強くなり、泣き止む。

「それじゃあ、またね。元気で」

「、…あぁ」

最後に笑いかけると私達は路地裏を諦め、人気の少ないところを目指す。

「しっかし主の弟?いとこ?だっけ。あいつ、強いなぁ。」

「でしょ?自慢のいとこ。」

「はっはっは、うい男だったな」

「あーーやっぱりわかる?三日月わかっちゃう?」

談笑しながら歩いていると小さい神社を見つけた。よし、あそこにしよう。
タブレットに座標を打ち込み、先に三日月と獅子王をワープさせる。
すると私のエンカウント率がすごく高いのか、大声で名前を呼ばれた。

「、恭子ッ!!」

「降谷、先輩…?」

驚きで目を見開き、口が開きっぱなしになっている私に向かって走って来る降谷先輩。スゲー形相。
まばたきをすると本丸に戻っていた。ああ、降谷先輩と喋れなかったなぁ。




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