ささやかながら些か

 俺の名はグラソ=スミスクライン。

 組織内きっての天才軍医だ。
 本当は軍など全く入る気はなかったのだが、総司令官であり友人でもあるクレスに頼み込まれ、自由に解剖実験をしてもいいっていう権利を交換条件にこの職へ就いた。

 え?
 誰もそんな交換条件のんだ覚えはない?

 どうやらお前は記憶障害を起こしているようだな。
 この薬を飲めば俺のいいなり…いや、記憶を取り戻せる。
 なぁに、体が痺れるのはほんの二十時間くらいで、すぐ正常になるって。
 味付けはもちろん焼肉・黄金のタ●味だ。
 好きだろ?
 さあ、ほら大きく口をあけてみな──……



 そこで、はっと目を覚ました。
 なんとも形容しがたい夢の内容に汗がだらだら流れ、シーツを濡らした。
 しばらく視線をただよわせ、その場にグラソがいないことに安堵した。

 目を伏せ手の甲を押し当てる。
 医者としての腕は一流でありながら、変態としても超一流のグラソに日々頭を抱えているクレスだが、よもや夢でうなされるまでだとは自分自身思っていなかった。

 喉の乾きを覚え起き上がる。
 ふとサイドボードに見慣れぬ小瓶を手にとり、……──そして投げた。
 力一杯に。
 小瓶にはこう書かれていた。

『不眠気味の友よ。最高の淫剤だ。使え』

 いつの間にか部屋にいた忍び込み、そっと怪しげな薬を置いていった友人・グラソに苦悩し、また今夜も眠れなくなるクレスなのである。


END


(なんだコリャ…)

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