仁王くんとイチャイチャしよう!


※仁王君の口調が安定しない





雨粒が屋根に打ち付けられ、部屋中に雨音が響く。

美桜と仁王の2人だけの部屋に会話はなく、スマホアプリのBGMだけ聞こえる。

おそらく昨日、丸井ブン太に勧められたRPGだろう。

………。

暇だ。とても暇だ。

前々から計画していた遊園地デートは、突然の雨で中止になった。代わりに仁王の家でお家デートすることになったのだが。

からこれ1時間半以上だろうか。美桜はずっとスマホにつきっきりで仁王に構ってくれない。いくらお家デートでも、これはあんまりではないか。

「美桜」

「んー」

「そのゲーム面白いんか」

「まあ、そこそこに」

「……」

話している間にも忙しなく動く指先。

──スマホが羨ましい。

そう思ってしまう自分は可笑しいだろうか。

──耐えられん。

仁王のベットで仰向けでスマホゲームをしている美桜に覆いかぶさる。

「何」

「暇じゃ。スマホばかりに構ってないで俺にも構いんしゃい」

「あとで──」

「もう沢山待った」

彼女の意識がスマホから逸れた隙に奪い取る。そのまま抱き締めて彼女の首筋に顔を埋めた。

「寂しかったの?」

「そうじゃ。せっかく2人だけなんに勿体無いじゃろ」

ポンポンと仁王の頭に体温が伝わる。この調子ならアプリは諦めてくれたのだろうか。だったら嬉しいのだけれど。

「美桜、好いとう」

甘く耳元で囁く。彼女が好きな囁き方だ。

夜は長い。これから溶けるまで構ってもらえばいい。


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