青峰くんと海デート!


「お前も着替えろよ」

「ぜっったい嫌」

パラソルが日陰を作るレジャーシートに座る私を、彼氏である青峰大輝が見下ろす。

彼は勿論、水着姿である。

事の発端は昨日の夜、大輝からのメールにある。

『明日、海に行くから』

夏=アイス。

そんな定義が出来上がっている私は、暑い季節になった途端にアイスやらその他もろもろの糖分を摂取した。その結果、まあ…水着を着るにはあまり良い体型ではなくなった訳で。

前日の夜に、そんなことを言われてもダイエットは不可能だ。

頑なに水着を着たがらない理由は、酷くありきたりだった。

「あのな、胸とかスタイル気にしてんなら意味ねーぞ」

「…なんで?」

呆れたような声音に上を向けば、逆光で大輝の顔が見えない。

「お前、俺の家に泊まってるときの格好思い出してみろよ。キャミソールにショートパンツだろ」

「うん」

「腕とか脚とか、もろ見えてるし胸とかウエストないのバレてるから今更気にすんなって話」

「私のこと馬鹿にしてんの?」

つーん、と不貞腐れたように横を向くと大輝が同じ目線にしゃがみこんだ。

「…あー…なんだ、その。そんなこと知ってても水着姿見たくて誘ったんだし…」

「あー」だとか「うー」だとか言葉を探す彼に、海デートも悪くないなと思った。


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