愛玩性悪



「おい起きやがれ」

その声を無視して、代わりに布団を深くかぶる。慣れ親しんだ布団が気持ちいい。その際薄眼を開けて時計を見れば、まだ8時になったばかりではないか。折角の日曜日が台無しだな、と瞼を閉じながら思う。
ここ最近、何故かコエムシが朝起こしに来るようになった。それも自分が暇だとか、完全にこちらの都合を無視して、だ。この前なんか朝の5時に来て「起きやがれ」なんて言うのだからたまったものではない。いや本気で。
そこで、だ。私が昨日からずっと寝ずに考えた案が無視し続ける事≠セ。流石に起きる意思が無い事が分かればコエムシのやつも諦めるだろう。

「おい、起きねーと酷い目に遭うぜ」

遭うではなく遭わせるの間違いだろ、と心の中で突っ込む。ひゅうひゅう、と頭上近くで飛んでいるのか、そんな音が聞こえる。勿論、起きる気などさらさら無い。ザマアミロ、そう心で唱えた時だった、

「いだっ!!」

どすん、と地面に落ちた衝撃が体を伝う。痛い。一体何がおきたのか分からず、目を開いて辺りを見ようとした瞬間、思わず驚きの声を上げてしまった。目の前に、明らかに不機嫌な顔をしたコエムシがいたからだ。そんなコエムシに少し臆しながらも辺りを見回すと、隣に先程まで寝ていたベッドがあった。どうやらベッドの隣の床にワープされたらしい。

「起きろつってるだろ。全く、俺様を待たせるなっつーの」
「待たせるもくそも、コエムシが勝手に来てるんでしょーが。大体何で来たのよ……」
「あぁ?んなの暇だからに決まってるだろーが」

またかよ…という言葉を飲み込み、げんなりした視線をコエムシに向けてやる。私の折角の案が台無しではないか。だいたい、よくよく考えればこいつは起きなければ強制的に起こしてくるような奴だった。考えが甘かった。
そんなこんなを考え、大きくため息を吐くとふわり、と目の前にコエムシが移動してきた。そして私の顔から機嫌を察したのか、コエムシは私が不機嫌だという事に堪らなく嬉しそうにしながら声を上げて笑った。
全く、本当にこいつは

(性悪だな……!)

(100503)






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