「お前には私達の全ての知識を与える。だから絶対にアレには捕まるな。そうなれば世界は 。」
ごぽり、と水泡が上がる音によって最後の言葉は上手く聞こえなかった。
まだカプセルの中で未完成な私にあの方はそう言っている。
「彼女にはまだデータを入れてませんよ?ですからまだ話しかけても理解出来て無いでしょう。」
先ほどとは違う声が聞こえた。
声が聞こえた方を見てみると、モニターがふわふわと浮きながら、あの方と向き合って話している。
「知ってるさ。だけど五感はもう機能してるんだろ?」
「確かに02の五感は機能してますが…昨日作動させたばかりじゃないですか。まだまともに使えてる訳がありませんよ。」
モニターがチラリと02を見て、少々呆れながら言った。そんなモニターの様子を見てあの方は苦笑いしながら私を見る。そして私を撫でるかのように水槽に触れた。
「それに02にそのことを覚えておいて貰いたいのならデータに書き込んでおけば良いのでは?」
ちょうどメインデータを入れる前ですし。とモニターは付け足すように言った。その言葉に、あの方はモニターに視線を移し、苦笑いをする。その表情は酷く疲れきっているようだった。そうして眼を伏せながら「お前にはまだ分からないか」と悲しそうに呟いた。その言葉にモニターが言い返そうとした時だった。ドゴォン、と地が揺れ視界が揺れた。
《フラッドガエリア5ヲトッパ クリカエス フラッドガエリア5ヲトッパ》
無機質な声が辺りに木霊する。そのアナウンスが言い終わったと同時に大量のセンチネルが慌ただしく通り過ぎていく。暫くセンチネル達を目で追う。ふと、視線をもとに戻すと私の前からあの方は消えていた。一体どこへ行ったのだろう、と辺りを見回す。
「おいギル!予定変更だ、ナマエに全てのデータをつぎ込め!!」
あの方が怒声混じりの声を上げる。声が聞こえた方へ顔を向けるとパネルに手を乗せているあの方が見えた。顔は先程と打って変わって目尻を上げて口を歪ませている。その表情を見てか、モニターは何か言いたげだったが素直にあの方の指示に従っていた。
《データヲ インストール 0%》
無機質な声が頭に木霊する。その声が酷く頭に響き、頭に痛みが走る。あまりの痛さに思わずうめき声を漏らす。そんな私の様子を見てかあの方は心配そうな顔で私を見ていた。そんな顔を見たくなくて、顔を伏せた時だった。ガシャリ、と何かが割れる音が聞こえ、咄嗟に顔を上げる。いきなり動いたせいか、頭に殴られたような痛みが走る。それでも音が聞こえた所に目を向ける。
そこには1体、よく分からない生物が立っていた。どちらかというとあの方の様な体をした、何かが寄生しているような奴だった。突如、そいつはあの方に向かってジャンプをしてきた。あの方からは背になっていて見えて無いのだろう。危険を知らせようと声を上げようとした時だった。
《インストール カイシ ・・・1%》
頭を銃で撃たれたような感覚に襲われる。視点が会わせられず、全てがぼやけて見える。一瞬、視界がはっきりと映った。そいつがあの方に飛び乗ろうとしている瞬間だった。と同時に頭の中で《2%3%・・・》と無機質な声が響き、私は意識を手放した。
これは遠い遠い過去の記録
そしてナマエの見た最初で最後のあの方の姿。
ついに始まったHALO夢。因みに02とはモニターでいう343のようなものです。まぁ別名として受け取って下さい。