「破壊神さま、風邪ひきますぞ」
そう声をかけても返ってきたのは生返事だけだった。あからさまにこちらがため息を吐いてもさほど気にしていないようで、破壊神さまは淡々と本を読んでいる。
どうやら私の持っていた推理小説の先が気になるのか、先程からずっと読みふけっている。私としても本を読む事自体は別に良いのだが、風呂上がりに髪を乾かさず、私の話も無視してまで読むのはいささか寂しいものがある。寂しいものがあるんですぞ、と心の中で訴えながら破壊神さまを見る。相変わらず本の虫になっており、こちらには見向きもしない。髪を乾かしてないせいか髪の色がいつもより濃く見える。
このまま放っておいたら本当に風邪をひかれるかもしれないので、ヘアドライヤーを片手に破壊神さまの後ろに立ち、ドライヤーをかけてやる。すると破壊神さまはビクリ、と一度肩を強張らせた。が直ぐに戻し、本をめくった。温風が破壊神さまの髪を撫でるのと同時に、シャンプーの良い香りがした。大体髪が乾いた所でドライヤーをかけるのを止める。乾いた髪の毛を持ち上げてすいてみると、さらさらとしていてとても気持ちが良い。暫く破壊神さまの髪を弄り、三つ編みにでもしてみようか、と思った瞬間だった。破壊神さまが突如本を両手でパタン、と閉じ、若干不服そうな顔でこちらに振り向いた。心なしか少し頬が赤い気がする。
「魔王…髪……弄りすぎ」
「あぁすみません、つい。……お嫌でしたか?」
そう聞き返すと破壊神さまは、そうじゃなくて、と頬を掻きながらばつが悪そうな顔をし、顔を赤らめながら、「照れるの」と呟いた。ああ、本当に、
((可愛すぎるでしょう!!!))