100℃



ジンジンと焼きつくような日光が降りそそぐ。今日は珍しく晴れ渡っており、空には雲ひとつ見当たらず、おまけに風もまったくない。そのせいか気温は40℃付近まであるらしい。こんな日こそクーラーをつければ良いのだろうが、どうやら壊れてしまっているらしく、スイッチを押しても全く反応が返ってこなかった。普段冷房嫌いの私がつけるのを渋っていたため、今の今まで気付かなかったのだ。


この事に破壊神さまは怒りの声を上げたのがつい先ほどの事だ。今では暑さにやられて緊急で出した扇風機の前を陣取っている。が、部屋自体が暑いので全く涼しそうではない。その証拠に破壊神さまの額には薄く汗が浮かび、顔も気だるそうだ。

「あっつい……」
「……それ聞くの、5回目ですぞ」
「誰のせいよ誰の…あ、そうよ、氷。氷とかないの?」
「こおり…ですか」

成程、氷が有ればまだ少し涼しめるのかもしれない、と暑さでぼんやりした頭で思った。そうだ、確か冷凍庫の中にアイスが置いてあったはずだ。あれを持ってこようと思い、席を立った。生暖かい風が、ジワリと私を纏わりついた。


***
二本のアイスキャンディーを持って破壊神さまの所に戻る。ブドウとオレンジ、両方とも破壊神さまの好きな味だ。きっとこれで少しは機嫌が良くなるだろう。

「破壊神さま、コレ」

そういうと気だるそうだった目が途端に光をおびて、気が利くじゃない、と笑顔をこぼした。私の好きな笑顔だった。そんな笑顔にドキリ、と心臓を高鳴らせながら、つられて笑っていると途端に破壊神さまはしかめっ面になった。

「どうかなさいましたか?」
「んんん…どっちにしようかなって」
「…早く決めないと溶けちゃいますぞー」

そう促せば破壊神さまは「分かってるわよ」と口を尖らせながら言った。2本のアイスキャンディーを何度も交互に見、そして暫く考えると「じゃ、こっち」とオレンジの方を手に取った。

「じゃあ私はこちらを」

そう言って袋を破き、アイスを口に含む。途端に口から冷たさが、甘さがじんわり広がる。ブドウの味がまた美味しい。
ふ、と破壊神さまを見れば、何故か目が合った。そしてまだ暑さの気だるさが抜けきって無い顔で、「一口」と言った。


暑さで頭が十分に働かなかったのが悪かった。特に何も考えず、「どうぞ」と破壊神さまの方に向けてアイスを傾ける。破壊神さまの瞼が若干上がると同時に、自分のした事の重大さに気付いた。
ハッと気付いた時にはもう遅く。傾けたアイスをどうにかしなければと思い、「あの、コレは、そ、そのですね!」と慌てて声を発し、アイスを下げようとした時だった。

シャリ、という音と共にアイスをかじる破壊神さまの姿が目の前にあった。まさか食べて下さるとは思ってもいなく、思わず己の目を疑う。そして改めて目の前で起こった事に対する恥ずかしさやら嬉しさに、かーっと頬が熱くなる。
そんなことも露知らず、破壊神さまは先程かじったアイスを口の中で溶かしながら、「やっぱりブドウにすれば良かった」と不満そうな声を上げている。声を上げる所はそこじゃないでしょう、と心の中で思いながらも、無性にそんな破壊神さまが狂おしい程愛しく感じた。

「破壊神、さ、ま」

そう言って破壊神さまがこちらに視線を向けようとした瞬間、覆うように、抱きしめた。溶けたアイスの雫が、魔王の指に落ちた。が、破壊神さましか感じていない魔王には、気付く訳が無かった。


(20100605)




アンケートコメントの「破壊神さま好き過ぎな魔王」を参考に書かせて頂きました!

-以下後付け+語り-

きっと魔王は破壊神さまにアイス拒否されたら何だかんだ言って傷つくんだと思います!大好きだから!頭では理解していても何かやるせないというか。だから食べて貰えたときは嬉しくて嬉しくて。『愛おしい』という感情が高ぶって抱きしめちゃうんだけど、後々冷静になったときこの行動に照れちゃうんでしょうね!そしてきっとこの後破壊神さまに「暑苦しい!」と言われるんだと思います!照れながら!後付け+語り終わり!

アンケコメありがとうございました!







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