夜中、のどが渇きムクリと布団をどかして起き上がる。なんでこんなに喉が乾いてるのだろう、とイガイガする喉を押さえながら原因を考える。と、同時に部屋の隅にあるヒーターがブオオと唸った。どうやら私はヒーターを点けっ放しで寝たらしい。成程、道理で喉が乾いてるわけだ。
とりあえず水を飲もうと思い、布団をどかして冷蔵庫まで行くことにした。
夜中、というより真夜中なだけあって廊下は真っ暗だった。ぼちぼち目が暗闇に慣れてきたので、音をあまりたてないように廊下を歩く。
ふと、目の前に一線の光が射しているのに気がついた。その光を追って顔を上げると、そこには破壊神さまの部屋があった。どうやらこの光は破壊神さまの部屋から漏れているようだ。まったく、こんな時間まで起きているなんて不健康極まりないですな…と呟くと破壊神さまの部屋の扉を軽く叩く。
「破壊神さま?はやく寝ないと朝起きられないですぞー」
コンコン、と扉をたたくが中から反応は無く、ただ静寂だけが辺りを支配した。
もしかして電気を点けっ放しで寝たのだろうか?と思い、小さい声で「入りますぞー…」と言いながら扉をゆっくりと開ける。
そこには、想像と違って部屋の真ん中に毛布につつまりながらテレビを見ている破壊神さまの姿だけがあった。部屋の明るさとは対照的にテレビは真っ黒で、何も映って無かった。
そんなテレビを食い入るように見つめる破壊神さま。一体何を見ているのか気になったが、まずは注意しようと思い破壊神さまに近づく。
「破壊神さま?早く寝ないと体に悪いですぞー」
そう言って毛布に包まっている破壊神さまの肩に手をかけようと腕をのばす。と、同時にテレビからスプラッタな映像が映った。
おわっ、といきなりの事に驚き、目をテレビに向ける。それがいけなかった、伸ばしたままの腕は肩から離れ、破壊神さまの頬をかすった。
「ひっ……」
破壊神さまが小さく息を呑むのが分かった。そして先ほどと打って変わりピシリと動かなくなり、硬直している。
変に驚かせてしまったようだ。誤解を解くために破壊神さまの肩をポンポン、と叩き、「私ですぞー。魔王ですぞー」と言うと破壊神さまはぎこちなくこちらに振り向いた。
「え…あ……ま、魔王…?」
若干涙目になっている破壊神さまが安心したかのように言った。そして耳あたりに手を持ってくると、スルリと何かを外す。どうやらそれはイヤホンのようで、成る程、さっきまで話しかけていたのに無視されていたのはこれのせいだったのか、と納得する。
「全く…いつまで起きているんですか。お体に障りますし……大体、そんなに怖いなら見ないほうがよろしいでしょうに」
そう呆れた様に言えば、破壊神さまは涙目のまま疲れた様子で「別に…怖くなんて……ないし…」と小さな声で言う。
全くこの神は。ひどく意地っ張りなお方だ、と改めて認識する。
ふと、一通り言うことは言った、と思うと自分が何しに来ていたのかを思い出す。とりあえず水を飲むため台所に向かおうと思い、破壊神さまに「では、私はもう寝ますぞ。破壊神さまも早く寝るんですぞ!」と釘をさして扉に向かい歩き出す。が、破壊神さまが腕を掴んだためそれは阻止された。
「どっ…どこ行くのよ」
「え?水を飲んで寝ようかと…」
「……ついてく」
「かまいませんが…でますぞ?」
そうニヒルな笑みを浮かべて言う。数秒後、破壊神さまのつるはしが飛んできたのはいうまでもない。