SS詰め合わせ 坂田A

水風呂
「暑い」口に出せば出すほど、体に感じる熱は増すばかりで。でも扇風機と団扇は銀時と神楽ちゃんに奪われてしまった。結果、わたしは水風呂に浸かっているのだが、どうしてわたしは二人にその姿を見られているのだろう。「なぁ、涼しい?」「冷たいアルか?」……頼むから出てってくれないかな、ほんと


白衣(3Z)
銀八の白衣は大きくて。体の小さいわたしには、袖が微妙に余るくらいには大きかった。なんていうんだっけ、こういうの。姫袖ってやつ?袖から見える自分の指を眺めながら思う。仄かに香ってくる銀八がよく吸っているタバコの匂いがして、なんだか頬が熱くなった。白衣なんて着るもんじゃない。


雷って怖いよね
鳴り響いた大きな音に悲鳴すらも上げられずに銀時に抱きつく。「ただの雷じゃん」なんて軽い口調で言ってきて。それでもわたしの頭に置かれた大きな手は、わたしを安心させるように優しく撫でるのだ。それでも尚抱きつく力を緩めないわたしにくつくつと笑う。だって、怖いものは怖いのだから仕方ない。


髪の毛
長く伸ばし続けた髪をつい先刻切り落とした。一切の未練のない「短くしたいんで切ってください」という言葉は、美容師さんを相当驚かせてしまったらしい。散々っぱら「本当にいいんですか?思い切りましたね」なんて言われるもんだから苦笑いを零すしかなかった。終いには、切る前と切り終わりの写真まで撮られたし。しかも、わたしの後ろ姿がその美容室のブログに載るらしい。帰ったら、一体彼らはどんな反応を見せてくれるだろう。
ほんの少しの期待を胸に万事屋を赴いた。
「……え?誰」
わたしを見て怪訝な顔つきの銀時に内心ほくそ笑む。どうだ、見違えただろう。
「どうしたの?」
白々しく聞き返すと、彼はわたしの側に歩み寄ってきた。
「……切った?」
「うん?ふふ、うん、切ったの」
どうだ、と言わんばかりに笑ってみせる。だけど、どうにも銀時の顔色は優れない。
「……ええ〜……切っちゃったのお前」
「え」
今度はわたしが声をあげる番だった。
「え、長い髪のが好きだったの?」
「や、まぁ、なんつーか。長い髪が好きとか短い髪が好きとかじゃねーんだけど」
言いにくそうに口ごもる銀時に「はっきり言って」と端的に、しっかりはっきりとわたしが言えば、彼はわたしの髪に指を通した。
「……どうせなら、俺が切りたかったなって」
「……ま。……え?……あ、うん」
銀時の言葉にすぐ返す言葉が見つからなかった。曖昧な返事だけを返すわたしに、銀時が笑った。



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