良い子は寝る時間


やばい、寝れない。眠気はあるのに全然寝れない。寧ろここまできたら寝ない方が世のため人のためにわたしのためになるんじゃないだろうかとすら感じてきている今、静かに寝息を立てている銀時を横から眺める。
あ、こっち向いて寝てる。可愛い。
いつもはだらしのない瞳も、今に限っては閉じられていて。寝てる時は可愛いのになぁ、なんて心の中で毒吐きながらくすりと笑った。
静かに、音を立てずに近付いても彼に反応はない。わたしが寝れないからと言って、起こすのは可哀想で。だけど、ゴロゴロしてるのもつまんなくて。

あーあ、寝れる人はいいなあ。

なんて思ってれば、「んん」と小さく銀時が唸って、薄く目を開ける。

「……え、なに……」
「あ、いや……ごめん、寝てていいよ」
「んー……今何時……」
「2時」
「2時ィ……?……お前、なんで起きてんの」

時刻は午前2時。
銀時が起きるには大分早い。なのに、起こしてしまったもんだから、それなりの罪悪感ってのも湧いてくるわけで。

「寝てていいって」
「寝れねーの?」
「うん、だけど銀時には関係ないから」

つっけんどんにそう返せば、暫く間を空けて銀時がもぞもぞと布団の中で動く。何をしているのかと目を凝らせば、人一人分のスペースを作って、それから布団を少し開いた。

「なに」
「おいで、銀さんが寝かしつけてやるよ」
「……なに、それ」
「いいから」

わたしの腕を引っ掴んで、布団の中に引きずり込む銀時に「わ、」と声を上げる。瞬く間にわたしは銀時の腕の中。

「……え、ちょ、銀と、……銀ちゃん?」
「んー……」

ぽん、ぽん、とリズム良くわたしのお腹の上を優しく叩く銀時の手。額に降り注ぐ温かい唇に、くすくす笑みを漏らせば、頬を優しく撫でられた。みるみる内に襲いくる睡魔に、あぁなんだそういうことかと理解する。
人肌恋しかったのか、わたしは。

「おやすみ、名前」
「……おやすみ、銀ちゃん」

良い夢を。


20180720


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