没稿置場

2020
0624

夢から醒めても君に会いたい エクル


お姉さん/5話没稿
デフォルト名:匂坂香織



授業を切り上げて、帰り道にたい焼き店やの前で男子学生が財布から小銭を落として私の足元に転がって止まった。拾い上げて手渡すと、男子学生の左右の眼の色が違う色なのに気が付いた。彼は目線が重なるとニッコリ笑って、おおきに。そう言ってにっこり笑った。

「ここのたい焼きめっちゃおいしいねん。」
「おいしいよね。ここもだけど、3丁目のもおいしいよ。」
「三丁目?」
「あぁえっと……大きな公園のあるところに出てる屋台のところなんだけど。」
「あぁ、あのおっちゃんの!あそこのもおいしいなあ!」

目を輝かせた男子学生は、味を思い出したのか頬を抑えて嬉しそうに頬を緩めている。

「たい焼き好き?」
「めっちゃ好き。」

目を輝かせて、首がとれるのではないかというぐらいに首を振られた。どうやら結構好きな様子だ。たい焼き屋の店主が遠慮がちに声をかけてきて、たい焼きを彼に渡した。ありがと!おおきに!なんて人懐っこそうな笑みを浮かべて、受け取ったばかりのたい焼きの紙袋を一度抱えなおした。

「おねえさんも、お金拾ってくれておおきに!」
「どういたしまして。おじさーん。私も二つくださーい。きみを見てたら食べたくなったんだ。おごっちゃうから食べない?」
「でも、知らん人にものもらったらあかんって。お師さんも言うてたし」
「私は、香坂香織。これで知らない人じゃないよね。」
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