2020
0612
貴方以外には何もいらない エクル
第6話没稿
デフォルト名:片桐雪華
「それで、ね。昔から思ってたんだ。どんな時もつむぎくんが気付いてくれたから頑張ってこれた。つむぎくんが何でもないときに気づきたいの。駄目かな…?」
「雪華ちゃん。俺なんかでいいんでしょうか?」
俺なんかで。じゃないの。俺が。いいの。自分で発した声が少し震える。妥協なんかじゃない、つむぎくんがいいの。そう言うとつむぎくんが戸惑いながらそわそわしてるのが手に取るようにわかった。そして悩むまでがワンセット。
「ねぇ、つむぎくん。私の命が尽きるまで、一緒に笑って支えあいたい。けど、つむぎくんに余計な重しはつけたくない。」
病気を引き合いにだとはいいたくないけど、私の果てのほうが限りなく近い。だから、悔いはしたくない。つむぎくんがアイドルだってわかってる。だけど、私は小さな頃から見ていた青葉つむぎくんが好き。ちょっと頼りなくても懸命に走り回ってたのを知ってる。言いたいことは沢山あるけど、頭がぐちゃぐちゃになりそうなほどどこから紐をほどいていいかわからなくて、だんご結びされてる気分。
「陰日向なく真っ直ぐ生きているつむぎくんだから好きになったの。私はやっぱりダメ、かな?」
そっと目線をあげると、ナッツ色の瞳が私を見てた。真っ直ぐ少し困った風にもとれる目線を私に向けていた。
「ダメなんかじゃないです。とっても良い子で。俺なんかに、もったいないくらい優しい子で。」
「卑下しないの。つむぎくん。私はつむぎくんがいいの。」
そう伝えてようやくつむぎくんが笑った。いつもと違うように見えるのは、この瞬間が特別なものなのだからだろうか。