星空に願いを込めて
一緒に笑ったり、泣いたり、怒ったり。
それだけでいいと思ってた。
だけど…。
私は、あなたの特別になりたい。
時刻は20時を回ったところ。
ルカで一泊することになった私達。
夕飯を済ませ、私は部屋のベットに横になっていた。
コンコン
ふと聞こえたノックの音。
ベッドから起き上がりドアの方を見やる。
もう各自自由なはずだよね?
誰だろ…?
不思議に思いつつもドアを少しだけ開けるとそこには見慣れた顔があった。
「ティーダ!?」
「エレノア、今大丈夫ッスか?」
遠慮がちに聞いてくる彼。
とりあえずドアを更に開きつつ答える。
「私一人しかいないけど、どうしたの?」
「よし!それならちょっと…」
「は?ってわぁ!?」
いきなりティーダは私の手を取ると、宿の出口へと向かいだす。
「ティ、ティーダ!?急に何!?」
「夜のルカ、探検してみないか?」
目をキラキラさせながら言うティーダに思わず笑みがこぼれる。
なんだか私までワクワクしてきた!
「楽しそうだね」
「だろ!?あ、みんなには秘密な」
ティーダはしーっと唇に人差し指を当てる。
二人だけの秘密――
それだけで私はとても幸せな気持ちになるんだよ。
「もちろん!行こう、ティーダ!」
「おう!」
そう言って私達は夜のルカへと繰り出した。
「うわぁ〜!!」
生まれてからユウナのガードとして旅に出るまで、ビサイドから出たことがなかった私は、夜でも賑やかなルカに驚きの声を上げた。
昼とは全く違うルカの街。
明かりがあって人もいて、昼にはなかった露店もたくさん出ている。
「エレノアはこういうの初めて?」
「うん、ビサイドの夜は静かだからねー…そういえば、ザナルカンドは?」
ティーダの故郷―ザナルカンド。
1000年も前に滅んだ都市としか聞いたことがなかったけど…ティーダの事は信じようって決めた。
「ザナルカンドはもっとスゴイ!夜でも街中昼みたいに明るくてさ、人もここよりずっとたくさんいるんだ!」
「ルカより!?そ、想像出来ないよ」
驚きつつも苦笑しながら言う私に、ティーダは更に自信満々に続けた。
「じゃあ、今度エレノアを連れて行ってやるよ」
「えぇ!?行けるの!?」
「…方法はきっとあるはずッス」
声が小さくなり俯いてしまったティーダに焦りつつも、そんなティーダが可愛いと思ってしまう自分がいる。
「大丈夫、私も帰る方法探すから!その代わり見つかった時は私も連れて行ってよね?」
「当然!約束する」
どうやら調子を取り戻してくれたようで、ティーダは顔を上げるとニッと笑った。
本当にこの約束が実現すればいいな。
私、ティーダと一緒にザナルカンドに行ってみたい。
「あ、エレノアあの店行ってみてもいいスか?」
何か気になるお店を見つけたのか急に方向を変えたティーダについていくと、そこはアクセサリーの露店だった。
ピアスやネックレス、バンクルなどが台の上に並べてある。
その中で綺麗な空色のピアスが目に留まった。
「これ、かわいい…あ!」
私が呟くと、突然そのピアスに手が伸びてきてひょいっと手に取られた。
見るとティーダがピアスを持っていて、「これ?」と指差しながら尋ねてくる。
「え…あ、うん」
「この色、エレノアに似合いそうだな」
「な!?」
私の耳にピアスを当てつつティーダは呟いた。
「決めた!おっさん、これ幾ら?」
「え!?ちょっとティーダ!?」
ティーダの発言に驚き、腕を掴んだけどティーダはニコッと微笑むとそのまま前を向いてしまう。
「800ギルじゃよ。可愛い彼女さんへのプレゼントかいな?」
「か…!!」
おじさんの言葉に思わず私は後ず去る。
そういう風に見えるのかな?
ティーダにそういう感情を抱いているといえど、そういう関係ではないのが事実。
ここでティーダに否定されたら私立ち直れない…。
「おっさん見る目あるな!エレノアっていうんだ、可愛いだろ!」
「!?」
ひ、否定しないの!?
すると、私が固まってるうちに勘定を済ませたのかティーダが戻ってきた。
「ん?エレノア?顔真っ赤ッスよ?」
「〜〜〜っだって…カノジョ…」
「…オレはそのつもりだけど…」
「え!?」
少し赤い顔でティーダは言うと再び私の手を引きつつ歩き出す。
着いた先は5番ポート。
流石にここには人影は見当たらず、積んである荷物の上に腰を降ろした。
「ティーダ…さっきの…?」
「そのまんまの意味ッス!」
照れつつ言うティーダにぎゅっと抱きつく。
「のわぁ!?」
「…私なんかでいいの?」
「エレノアだからいいんだよ」
ティーダも私の背中に腕を回し抱きしめてくれて。
それだけで涙が溢れた。
「わ、私もティーダがいい…」
「当然ッス」
そう言うと私を引き離し、涙を拭うとさっき買ったピアスを付けてくれた。
「うん、やっぱエレノアにピッタリだな!」
「ありがとう!ティーダ!」
ティーダの笑顔につられて私も笑顔になる。
「エレノア、上見て」
ティーダは再び私を抱き寄せると今度は膝に座らせる。
「わぁ!!キレイ!」
頭上には私達を祝福しているかのような満天の星空が広がっていた。
これから先もずっとずーっと
あなたの隣りにいれますように――