5月4日 烏野総合運動公園合宿所
本日の練習試合も終了し、一同は拠点となっている烏野総合運動公園合宿所で体を休めていた。
「美沙さんの料理ほんと全部美味いっス!」
「俺も合宿のたび思うよ〜」
犬岡のことばに夜久が賛同する。福永のおかわりのご飯をよそいながら美沙は目を瞬かせる。周りではみんながうんうんと頷く。
「そ、そうかな」
「俺も美沙さんの料理好きです!」
柴山、そんな純粋無垢な目で見ないで。山本も。昨日から半泣きで食べるのはやめなさい。…でも料理を褒めてもらうのは素直に嬉しかった。
むかしから料理は好きだ。
一人暮らしもそれなりに長いと料理も得意になる。だが、決してそれを誰かに
振舞うことはなかった。当たり前だ、家族はそばにいないし、親しい友達もいなかったのだから。
だから今、自分の作ったものを誰かに食べてもらうのはとても嬉しくて、更に美味しいと言ってもらえるとなるともうこれ以上ないほど気分は浮上してしまう。
「美沙はいい嫁さんになるなぁー」
さらに別の人物の声に全員が目を丸くする。その視線を一身に受けるのは…やはり
ニヤニヤと悪戯を思いついたとき猫のような表情をする猫又監督だ。その隣で直井コーチが
詰まらせたのか胸をドンドン叩いている。
「なぁー黒尾ー」
ぎょっと空気が動き、今度は一斉に黒尾に視線が集まる。珍しいことに研磨も
チラリと黒尾を盗み見る。
黒尾は苦笑いをしながら、しかし真っ直ぐ猫又監督に視線を返し口を開く。
「まだまだ先の話っすよ監督」
ニヤリと笑みをつくりながら言い切った。美沙は「て、鉄朗くん」と頬を赤く染めながら黒尾のもとへ駆けよる。
「ここにはないけどサンマの塩焼きも絶品なんだよなぁ〜」
まだなにか喋ろうとする黒尾の口をうしろから両手で塞ぐ。食事中だがそんなことを気にする余裕が美沙にはなかった。手のしたから頬が動くのがわかり、またニヤニヤと笑っているのだろうと思う。全員から呆れた視線がおくられ顔をあげることができず俯くと、自然と黒尾の頭に着地する。
「なんつーか…もう新婚みたいだなおまえら」
呆れながら言う猫又監督の言葉に、体が爆発してしまうんではないかと美沙は本気で思った。
「−−で、2日後にはウワサの烏野高校との決戦なワケだが…我らが因縁の相手
烏野に女子マネージャーは居るか否か!」
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