「号外!」
登校して校門を入ったところで怪しげな人が号外を配っていた。
「紗江おはよー!」
振り返ると、楽しそうに号外を手にする美咲がいた。
「今の桜木くんだったよね」
「え、うそ!」
美咲はよく見てるなあ、と思いながら、わたしも号外に目を通した。
「すごいね、桜木くん」
「いや、あれはほんとすごかった」
「美咲見に行ったんだっけ」
そういえば前の日に誘われたような。
「・・・三井もすごかったよ」
美咲は少し寂しそうに笑った。
「あ、バスケ部揃ってる」
美咲に言われて騒がしい方を見ると、赤木くんや木暮くんなどバスケ部が集まっていた。
そこには三っちゃんの姿もあった。
「ガンバレよバスケ部!」
「いけるぜ今年は!」
周りが囃し立てているのを聞いて、ああ、本当に今年は凄いんだ、と思った。
「紗江、決勝リーグ見に行こうよ」
「え、」
「そろそろいいんじゃないの」
美咲の言葉に、少し考え込む。
「三井、本当にすごいんだよ」
「・・・考えとく」
考えとく、なんて言っておきながら結局、海南大付属戦にやってきてしまった。
バスケットをする三っちゃんを見るために。
「うわあ、すごい人だね」
「この前の翔陽戦もすごかったけど、やっぱり海南大付属は人気が違う!」
美咲はすっかりバスケにハマってしまったようだ。
海南大付属は、神奈川で一番強いらしい。
「美咲ちゃ〜ん」
「あ!水戸くん!」
美咲が呼ばれてついていくと、そこには桜木軍団と、赤木くんの妹、晴子ちゃんたちがいた。
「あれ?紗江ちゃん?久しぶりじゃね」
水戸くんに言われて、少し苦笑い。
「ミッチー復帰したあたりから来てないよな」
水戸洋平、鋭い・・・!
「ん?どうかした?」
さらりと微笑む水戸洋平、気付きやしないよな・・・。
「べ、別に」
「あ、湘北出てきたよ」
湘北バスケ部のジャージ姿の三っちゃんを初めて見た。
「か、かっこいい」
美咲にぎゅっと抱きつくと、彼女は笑った。
「紗江今まで見なかったの、本当に勿体無いよ!」
「そうかもー・・・」
本当に勿体無い気がしてきた。
また頑張り始めた三っちゃんを見ない時間があったのは本当に勿体無い。
「お、始まるぞー」
美咲がわたしの手をぎゅっと握る。
(ユニフォーム姿の三っちゃんもかっこいい・・・!)
強豪の海南大付属を相手に大健闘の試合運び。
「あ、木暮くん出た」
隣を見ると、美咲の視線は木暮くんに釘付けだ。
(美咲、あんたまさか)
前半は赤木くんの負傷があったけど、スーパールーキー流川くんの活躍で同点に追いついた。
後半逆転されて6点差、残り5分。
みんな必死に湘北を応援していた。
「声が小さァい!!」
わたしたちの後から現れたのは徳ちゃんだった。
「徳ちゃん!」
徳ちゃんの気合の入った応援に、みんなもついていく。
徳ちゃん来てたんだね。
バスケットする三っちゃんを、見に来たんだね。
わたしは胸がいっぱいになった。
三っちゃんにパスが通って、シュートを決めた時、瞼に溜まってた涙が溢れ出た。
「三っちゃん!」
徳ちゃんも感極まって泣いていた。
良かったね、徳ちゃんや水戸くんたちが守ったバスケ部が大健闘してる。
残り一分を切って、三っちゃんは体力も限界のようだった。
二年のブランクはやっぱりきついんだろう。
ハラハラして見ていると、桜木くんが三っちゃんにチョップした。
三っちゃんに気合を入れてくれたようだ。
(三っちゃんもう少しだよ、頑張って!)
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