好きだよと言えずに初恋は。
ふりこ細工の心として終わってしまうのだと、昔の歌が言っていた。
私にとっての初恋もそれは同じで、ゆらゆらと揺れる浅い夢。
だから今もあの鮮明なオレンジ色が、胸に浮かんで離れない。

爆豪勝己という少年は、大変にセンセーショナルな男の子だった。
成績優秀、なんでもいちばん。
クラスの女の子の殆どが彼に何処か惹かれていて、その殆どにカテゴライズされる私にとってもそれは同じ。
女子だけじゃなく男子まで惹き寄せられるような鮮明で、どこか危うげなその光に、何度心を揺らされただろう。
彼の瞳はその危なげな輝きをひとつにして詰めたような激しいオレンジ色をしていて、私の初恋はその鮮やかなビビッド・カラーだった。

近づいたことも話したことも、ましてや告白したこともなくて。
思いを告げることもないまま、彼は全国一のヒーロー科へ進学し、私は平凡な高校へと進んだ。
ただ、それだけの話。それだけの浅い夢。
彼の『ほんとう』を知らないまま、彼に惹かれた私の、あさい、浅い夢のお話。

夕映えはあんず色

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