あなただけは


 

私は、男の人が苦手だ。

もっと詳しく言うと、男の人で、大きくて、軽い感じの人が苦手だ。

なんでと言われても、怖いし、女の人を平気で取っ替え引っ替えするから。人類の敵だとさえ思う。

なのに、何で私はこの人が少し気になっているのだろう。



「おぅ、桐生。早く帰ろうぜ」

「あぁ、わかってる。」


今日最後の授業が終わって、目の前で帰る約束をしている二人。桐生くんと錦山くん。仲がとても良く、顔も良いみたいで女の子たちに結構人気らしい。しかし、ガタイが良くて、キラキラしてる男の子が苦手な私にとってとにかく私は絶対に関わりたくない人たちである。

「早くしろよな」

「……」

なんというか、住む世界が違う。多分、私とか全然二人の眼中に入ってない。入ってないのは別に構わないんだけど、さっき配られたプリント、私に回ってきてないんだけど、桐生くん…。

じっと言い出すのを我慢しながら、視線だけを送っていると。

「桐生、お前これ2枚も持って帰る必要ないだろ」

錦山くんが気付いてくれた。桐生くんもそうだなと言って、一枚は自分の鞄の中。もう一枚を後ろの私に渡そうとしようとした時。

「これ、さっき配られたやつ。桐生って抜けてるところあるから、ごめんな、みょうじさん」

「あっ…ありがとう。うぅん、大丈夫…」

錦山くんが直接渡してくれた。しっかり目が合って、しかもちゃんと名前を呼ばれた。

まさか名前を覚えてもらってるとは思わず、挙動がおかしくなってしまった。一瞬だけど、すっごくキラキラしてた…。



book / home