俺の家から少し逸れた道の方に名前の家はある。お互いに部活があっても名前には頑張って第二体育館まで来てもらって、俺と一緒に帰るようにしてからは必ず送り届けるようにしていた。

 今日も同じように途中で大地達と別れてから家の前まで名前を送った。何時ものように玄関の前で別れると、名前は優しい顔で笑ってくれる。

「それじゃあ、また明日」
「はい。お疲れ様でした、菅原先輩」
「お疲れ」

 でもそれが、ふと寂しく思える。



「――なんて考えてんの、俺だけ?」

 家に着いてメシも風呂も済ませた俺は、不意に湧き上がってきた疑問に頭を悩ませていた。名前はあんまり積極的な方じゃないし大人しい性格だけど……。なんか、俺だけ乱されてるみたいで落ち着かない。

「うーん……」

 名前を探していた時はこの想いを伝えることで必死だったけど、届けば届いたでこうやって欲張りになっていく。ゆっくりな名前のペースに合わせてこの関係を進めて行くつもりだけど、でも小さなこういう所で俺の欲が出てくる。

 もっと君に近付きたい、もっと君の心を占めたい。
 もっともっと、もっと君を知りたい。そして俺を知ってほしい。

「――あー、もう!」

 こんなに、さよならが辛いなんて。

  

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