【鬼ごっこ】


0.



こわい、どうしよう。にげなきゃ、にげてにげて、鬼につかまらないように、にげなきゃ。
あの子は、ともだちはにげられただろうか。だいじょうぶかな。きっとだいじょうぶ。わたしが、おとりになったんだもの。

逃げる逃げる、私は走る。道なき山中を走り回る。ここはどこだとか、考えている余裕は無い。兎に角捕まらないように逃げなければ。でも、どこに?どこまで?わからない。ただ、捕まらないように逃げなければ。

ああ、どうしよう。もしも捕まってしまったら。きっと殺されてしまう。だってあれは、鬼だもの。
ざくりざくり、枝がまるで刃物のように私の腕や足を傷つけていく。痛い。でも足を止めるわけにはいかない。逃げなければ、殺されてしまう。
死んじゃったらどうしよう。あの子を、ひとりにしてしまう。だめ、そんなの絶対。

めぐみを、ひとりぼっちにはできないもの。私のたった一人のかぞく。
だから、だから逃げなきゃ。あれから、逃げ切らなきゃ。


「――― あ、」

ずるり、ぬかるんだ地面に足を取られて崖を転げ落ちた。ボキッと、嫌な音が響いて、全身が痛くて。いたくて、倒れた先で―――鋭く光るものをみた。
鬼が、わらっていた。笑って、私を見下ろして。赤い目が、わたしを、わたしを見てあ、あああ


「め、ぐ」

ぐちゃり、てつのにおいとあか。
そうして、わたしは―――






1.

出待ち、紛うことなき出待ちである。校門の真ん中で堂々と仁王立ちするソイツは、校舎から出てきた俺を姿を捉えた瞬間顔を歪ませた。次いで「おっそい!」とソイツは声を荒げる。何様だコイツ。相手と同じく俺は顔を歪ませる。「ハァ?何その嫌そうな顔!わざわざ来てやったのに!」と言うコイツにお前は暴君か、と言いたくなった。勿論の事だが会う約束はしていない。向こうが勝手に来て勝手に待っていただけだ。

「帰れ」
「はぁ〜?来てやったって言ってんのに帰れって何!?」
「何、は俺のセリフだろ。何しに来たんだオマエ」
「そんな態度なら教えな〜い」
「帰る」
「帰んな!!」

横を通り過ぎようとして、腕を掴まれた。夏なのでちょっと怖い話を。

五条悟に出会っていない世界線の伏黒恵。
呪力とは別の霊力持ち。

× ×
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