お腹が重い。夜、眠っていた私は突如お腹の上に違和感を感じた。取り敢えず重い。なんか、人ひとり分とか、そんな感じの重さだ。……人?誰かが私に乗っかっている?だ、だ、誰がだ!リゾットとホルマジオとイルーゾォの3人は下の和室で仲良くねんねしてるはずだろう!じゃあ誰なんだこいつは!しかもこれが人じゃなくて幽霊だったりしたら……。

オカルトとかそういう類のものが死ぬほど苦手な私は目を開けるのも怖くて、寝転んだまま考えに考えた末、

「は、祓いたまえぇぇえ!!!」

上に乗っていた人らしきものを渾身の力で放り投げた。鈍い音がして、ソレが床に落ちる。ようやく起き上がり目を開けることができた私は、手探りで電気のリモコンを探し何とかして明かりを付けた。


まず目に入ったのは男の人だった。いや、私が投げ飛ばした方じゃなくてベッドの隣で寝てた方。

美人、と表すのがピッタリであろう男の人と目が合う。私は思わず間抜けな声が出た。いやだってめっちゃ美人さん。

「ほぁ……」
「……お前、何モンだ」

突然、閉じられていた瞼が開いたと思うとその瞬間私の身体は仰向きに倒され首元に相手の手が添えられる。スプリングがギジリと音を立て軋み、私は身体を倒された衝撃でぐえ、と間抜けな声が出た。

「ここは何処だ。おっと、変なことはするなよ?いいか?質問にだけ答えろ。ここは何処だ?」

馬乗りの状態で押さえつけられて身動きが取れない。そして首元に掛けられた手に少しの力が込められ、少し息苦しくなる。何か言おうにも突然のことで上手く言葉が紡げなかった。

「とっとと吐くんだなァ。でねぇとテメーのカラダは、……あ?」

美人さんの言葉は不自然に途切れた。その様子を見て、リゾットが初めて来た時のことを思い出し悟る。手に込められた力。強気な態度から一転、怪訝そうなその顔。この人はたった今≪スタンド≫を使って私に攻撃をしようとしたのだろう、と。

「なまえ!」

突如、勢いよく扉が開いてリゾットたちが飛び込んでくる。その姿を瞳の端に捉えて思わず、ほっと安堵の息を漏らした。

* *

「──で、なまえの部屋あたりから物音がして殺気もするしでオレたちが駆けつけたってワケ」
「……異世界、なァ……」

ホルマジオの説明に美人さんが考え込むように呟く。美人さんの名前はプロシュートさんというらしい。
寝室というプライベート空間に大所帯にいるのが落ち着かなくなって、取り敢えず全員リビングに移動してもらいプロシュートさんに事態の説明をしている。もう1人の、まるでV系ミュージシャンみたいな容貌のペッシさんはベッドから落ちて頭を打ったからかなんなのか、未だに目を覚ましそうになかったのでそのまま寝かせておいた。

「"理解"はした。納得は別にしてな」
「あの、こ、これからについて、なんですけど」
「……あのよォ」
「衣食住はご提供できます、ので。ハイ。みんなここに住んでるので、もし、よろしければ……。あっ寝床……、は、今3人客間で休んで貰ってるんですけど……。狭くなってきたから、祖父の私室を解放するので、」
「アンタ、何でさっきからイルーゾォの後ろに隠れてんだ?人と話をするときはよォ〜、人の顔見て話せって習わなかったか?」

え?と凄みのある表情で尋ねてくるプロシュートさんは正しくマフィア、ギャングという感じで更に身体が縮こまる。その様子を見てか盾にさせて貰ってるイルーゾォが溜息をついたのが分かった。

手を掛けられたあのときのビリビリくる殺気は本物だった。プロシュートさんの≪スタンド≫だってどんなものか分からない。もし、発動されていたら。リゾットの≪スタンド≫のように自身に危害が加えられるものだったら?考えただけでゾッとする。

「なまえはオレたちを保護してくれている相手だ。そう睨むな」
「…………まぁ、いいけどよ……。オレがアンタに攻撃しようとしたのは確かだぜ。だが、事情も分かった。リゾットがそう言う以上オレもどうこうする気もない。……だが、なァ?これから先が思いやられるな」

これから先?どういう意味だろうと皆の顔を伺うと、目があったホルマジオが苦笑気味に口を開く。

「あ〜……。まだ来てねぇのっつーと……」
「メローネとギアッチョか……確かにあいつらは……」
「更にソルベとジェラートがこちらに来るという可能性もある」
「え、え?待って君らのメンバー何人いるの?っていうかつまり、その人たちが何?ヤバイってこと?」

困惑する私を余所に、リゾット以外の全員が何とも言えない顔で視線を逸らした。嫌な予感しかしない……!

恐怖