未来は未定で、未知で、魅力
12

買い出しで買って来たものを棚へ入れるゆりを見守っていると「ここに居て良かったの?」と沈黙を破ったんはゆりやった。


なにがや、なんて聞き返す必要なんてない。学校で斎藤との会話を全部聞かれたんやから「興味ないねん」とだけ返した。すると、ゆりは「そっか」と保健室の前でみた時のような寂しげな笑みを浮かべた。


「俺、ゆりが好きやから、そうゆうん、辞めた」


そう続けて言ったら棚に仕舞うと手に持っていた物を落として「え?」と俺をみた。そして、もう一度、ゆりの目を見て繰り返した。


「ゆりが好きやねん」


見る見るうちに赤く染まっていく顔が可愛いくて俺の口が止まらんくなった。

「最初はなぁ、ゆりの作る飯が美味くて、料理うまい人ぐらいやってん。ここで飯食った時ゆりが楽しそうで俺を楽しくなってん。柄にもなくふわふわしとってん」
「ふっふふ、ふわふわ?」
「笑うなや!なんて言ったらええか分からんねん。ゆりが腹抱えて笑った時めっちゃ、ゆりが欲しいくて腹減ってん」
「…私、食べ物じゃないデスよ」
「知っとるわ!ゆりともっと一緒に居りたい…もっとゆりの事知りたい…斎藤の知らんゆりがみたい」

「…直?なんで?」と笑うゆりに「好きだったやろ?」と聞けば笑顔が一瞬で消えた…って事はそれが答えた。「…オーナーに聞いたん?」と聞かれて、「俺からは聞いてへん」と答えた。嘘は付いてない。

すると、ゆりは買い足した物を全て仕舞い終わって厨房からカウンター席へ廻って来て、一つ間を開けて座った。小さい声で「好きやったよ」と零した。

「離れたくても、直より好きだと思える人に会えなくて、今もずっと直の側にいる。…おかしいよね?私が一番わかってる…けど、直、昔は本当に優しさかってんよ?」



震えるゆり、今にも溢れそうな涙を見とったらゆりへと手が伸びて、ゆっくり頭を触れた。

「アホやな、ゆり」
「…っアホだよ」
「本当、アホや。俺はずっとゆりに優しく出来るで?」
「…え?」
「俺は絶対ゆりから悲しません」
「…なに言っとん?」
「ゆりが、好きやで?」


驚いたゆりの顔かわええなぁ。でもこれは冗談やない。本気や。


「今はまで、斎藤がゆりン中に居ってもええ。いつか斎藤、誰?って思えるぐらい、ゆりが俺だけをみれるようにしたる」
「…」
「俺と付き合ってくれへん?」

視線が重ねっとたのにゆりが目線を下げて「わ、私、治くんのこと好きって思った事ない」とはっきりと言った。あぁ、知っとた!今は、それでもええねん!俺と居ったら、俺の事好きなってもらえるように俺頑張るから…と言おうとした時、ゆりの口がまた動いた。


「でも、治くんといるの楽しいから、直から離れたいって気持ち忘れちゃうんだよね」
「…は?」
「今まで、直と離れたい、離れたいってそれしか思ってなかった。けど、治くんと居ると楽しいから離れたいって気持ちさえも忘れちゃうんだよね…えへへ」


頬を少し赤く染めて照れ隠しのように笑ったゆりを見て俺の事好きやん?と言いそうになった。いや、好きやん?

「こんな私でも、治くんと居っていいのかな?」と首を傾げるゆりに「当たり前や」と伝えた。

「治くんの事しか考えられなくなった時は、私からちゃんと伝えるね」
「おぅ、楽しみ待っとるわ」


えへへ、なんか恥ずかしいねと照れるゆりを「そんの顔絶対、斎藤に見せたらアカンからな」と釘を打つとゆりの携帯にメッセージが届いた。

【斎藤直哉:今日ゆりん家で寝る】

またか…まぁええよっと、メッセージの送信する前に「あかん!それは、あかん!」と声をあげた。

「どうしたの?」
「いや、なに、ふつーにお泊りしとんねん!」
「え、今までもよくあったよ?」
「あかん!ゆりは今日から俺の彼女やから、そうゆうんアカン!!」


必死こいて止める俺を見て、「ふっふふ、やっぱり治くんと一緒にいるのは楽しいね」と笑った。笑ったゆりが好きや。だからって、許さんけどな。

「幼馴染みはお泊りふつーにしンからんな?」
「そうなの?」
「そうなん!幼馴染み居ないからわらんけど!」
「ふっふふ、わかった。じゃ、今日から辞めるね?」


幼馴染み、それは最強だ。
幼馴染みであればゆりの初めてを奪える。幼馴染みでよかったって思える…けどなぁ、幼馴染みじゃなくて、ゆりの側に居るねん。この先、ずっと、ゆりの側に居るのは、幼馴染みやなくて、俺なんだって証明したる。







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