「おはようございます」
「あけましておめでとう」
……。
クソ、あんまり眠れなかった。それもこれも誘惑して揶揄ってくる名前さんが悪い。何もかも名前さんが悪い。俺は悪くない、多分。
「お雑煮作ったけど食べる?」
起床後、頭を掻いて居間に行くとやはり名前さんは俺より先に起きて台所に立っていた。…何で無駄に早起きなんだ。朝弱いんじゃなかったのか。
名前さんはどこから見つけてきたのか津美紀が調理実習用に使っていたエプロンを付けて白味噌を鍋に溶いていた。
トーストを見ればアルミホイルを敷いて丸餅が焼かれている。
「……」
「私が京風にしたいから白味噌と丸餅にしちゃった。いいよね?」
「…はい」
「じゃ、これと昨日の天ぷらと、寮母さんからパクってきたお煮しめとなますと数の子食べよ!あ、いくらも買ってきたからあるよ」
寮母さんからおせち料理パクリりすぎだろ、と思ったがどうせ俺も頂くことになるので黙っておいた。
昨日のことがあってから何もかもやるせなくなっている。俺は名前さんの言葉に頷くと洗面所に向かった。寝不足でややいつもより目つきの悪い自分と鏡越しに目が合う。
マジであの女タチ悪い。
あの後も名前さんはいつも通りで、アイスを食べて歯を磨くと少しだけ筋トレをして「じゃ、眠いから寝るわ!」と言って普通に布団に潜って寝ていた。もっと警戒しろよ。アンタ俺に押し倒されたんだぞ。…意味わかってんのかよ。
「ねえ恵、お餅何個食べるー?」
「…2個」
「オッケー4個ね!」
…聞く意味あったか?
俺は顔をタオルで拭くと部屋に戻り着替えを済ませた。まあ着替えって言ってもスウェットからスウェットに変わっただけだけど。
居間に戻ると名前さんが大きめの皿に寮母さんからパクってきたおせち料理やいくらやらを丁寧に盛り付けている。お雑煮が煮えそうになっていたので俺が火を止めると、「ありがとう」と言われた。
「お餅焼けてたら取り出して、お雑煮に入れて」
「…何で7個も焼いてるんですか」
「恵いっぱい食べるかなと思って」
「こんなに食えないです」
「育ち盛りなんだから5個くらい食べなよ」
「だとしても食い過ぎだろ」
「そうかな?」
俺さっき2個って言ったの聞いてなかったのか。イラッとしながら黙ってトースターからアルミホイルごと餅を取り出した。膨らんだ餅を名前さんの指示に従って全部お雑煮の鍋に入れる。
…何だか津美紀がいた頃を思い出す。
「…そういえば津美紀の病院、面会っていつから開いてんの?」
「別にいつでも。病院なんで」
「今日行く?」
「…はい」
「じゃ、私も行っていいかな」
俺が黙って頷くと、名前さんは了解〜と言いながら祝い箸を取り出していた。
元日に津美紀がいない、というのは初めてだ。ぼんやり津美紀のことを考えて雑煮の火加減を見ていると、名前さんが明るい声で俺の肩を叩いた。
「これ食べたら面会行こ!何時から開いてんの?」
「9時」
「じゃあ食べたらすぐ行こう、ね?」
「津美紀ー、来たよ。あけましておめでとう。今年もよろしくね」
名前さんの明るい声が元日早々病室に響く。津美紀は目を閉じて仰向けのまま静かに眠っているように見える。やはり今日も反応はない。俺は小さく息を吐いた。呪いのせいで寝たきりになったのだから、俺達が来たくらいで何か変わるわけはない。わかっているはずだった。
「津美紀がいなくて恵が寂しがってたから、私が昨日恵と年越ししといたよ。心配しなくても大丈夫。おせちも食べたし、お雑煮もしたんだ」
何の反応もない津美紀に、名前さんは朗らかに話しかけた。
名前さんが時々津美紀の見舞いに一人で来ていることは知っていたが、俺と来たことは一度もなかった。
この前の俺の誕生日の翌日も、結局お互い別任務になってしまったし。
俺と津美紀の二人の時間をなるべく邪魔したくない、とか謎なことを言っていたが、もしかして彼女が一人で来た時はこうしていつも明るく話しかけてくれていたのかもしれない。
津美紀と名前さんは実はそこまで関わりは深くない。別に仲が悪いわけではなかったが、そうせざるを得なかった。五条さんからの指示であまり津美紀と深く関わりすぎないように、と名前さんは何度も言われていた。
何故かと言うと、津美紀には俺や五条さん、名前さんが呪術師として行動していることを隠していたし、その呪術界の話も極力しない、とにかく津美紀を危険な事に巻き込まないということが俺と五条さんの間での約束事だったからだ。
「…早く起きてね。恵、津美紀が起きるのずっと待ってるんだよ」
隠し事をするのは心苦しかったが、津美紀には幸せになってほしい。普通の幸せを手に入れて、生きて行ってほしい。
俺がそう思っているのを五条さんも名前さんも知っていたから、津美紀と敢えて必要以上に関わらないことを受け入れてくれた。関わる場合は俺が一緒にいる時のみで、呪術師としてではなく保護者とその関係者として。それは俺たちの中での暗黙の了解だった。
「…飲み物買ってきます」
「うん」
名前さんが頷いたのを確認して俺は病室を出た。
名前さんは津美紀と会ってもいつも一言二言会話するだけでなるべく関わらないように気をつけてくれていたが、津美紀は「名前ともっと仲良くなりたいのにな」と話していた。こんなことになるなら、もっと二人を関わらせても良かったのかもしれない、と思う自分もいる。
自販機の温かいコーヒーとミルクティーを一つずつ選んで取り出して、俺は目を伏せた。
「それでね、恵と一緒に年越しそばは天ぷら蕎麦にして食べたんだよ。私が天ぷら作りすぎてまだ余ってるの。この作りすぎる癖治んなくてさー…津美紀の分も作っちゃってるんだと思う、無意識に」
「…」
「今朝もお餅焼く時7個も焼いちゃって、恵にそんなに食えないですって怒られたんだよ。津美紀は丸餅食べたことある?うちの実家では基本的に丸餅なんだけど、関東は角餅なんだよね?…目が覚めたら一緒に食べようね」
病室に入室しようとして聞こえた声に、俺はドアにかけた手を止めた。名前さんが津美紀にまだ何か声をかけているらしかった。
「早く津美紀とご飯食べたいなぁ。恵が心配性だからあんまり津美紀と仲良くしすぎないようにしてたのに、寝たきりになってから私達よく喋るようになったよね?私達ってか私が一方的に喋ってるだけなんだけど」
まだ名前さんは津美紀に話しかけているらしい。聞こえているかもわからないのに。
「目が覚めたら私ともっと遊んでよ。恵にも頼んでおくから。私さぁ、高校入ってからぶっちゃけ女友達全然いなくて退屈なの。…ねえ津美紀、待ってるからね」
俺が意を決してドアを開けると、名前さんが振り向いた。意識のない津美紀の手を握りながら振り返って俺を見る。優しい表情だった。
「津美紀の手、あったかいね」
「…名前さんがずっと握ってるからですよ」
「そう?」
津美紀の寝たきりの原因は呪いだから、訳を知ってる人間以外見舞いも面会も完全に断っている。そうなると必然的に来るのは俺か五条さんか名前さんしかいない。
いつも周りに人が沢山いて、明るくて友達の多い津美紀がひとりぼっちでここで眠っているのはやるせないが、こうするしかなかった。誰が津美紀を呪ったのかわからない。何が津美紀をこうさせたのかわからない。
その多くの友達の一人が、津美紀を呪った可能性だってある。
…だから名前さんがこうして独りでいた津美紀に明るく声をかけてくれるのは嬉しい。
「…喜んでると思います」
「だといいな」
「聞こえてるかわからないですけど」
「聞こえてるよ」
名前さんの横に丸椅子を持ってきて俺も座る。二人で並んで津美紀の見舞いをするのは不思議な感じだった。
「何でわかるんですか」
「なんとなく?手もさっきより温かいし、寝たきりでも耳は聞こえてたりするって言うじゃん。だからきっと聞こえてると思う。身体が動かないだけなんだよね。耳は聞こえてるし頭でも理解してるよね。…ね、津美紀」
津美紀が返事をするわけもないのに、名前さんは変わらず笑いかける。…この人のこういうところが好きだ。誰にでも優しいところ。俺にも津美紀にも、温かくて優しいところ。
「恵も照れてないで声かけてあげなよ。二人の時ちゃんと話してる?」
「…少しくらいは」
「本当に?いろいろ話してあげなよ、絶対喜んでるから」
俺から津美紀に話しかけるなんて、普段の生活だと必要最低限だった。口煩くて心配性な津美紀を正直疎ましく思っていた時もあるし。
「…わかってます」
「ああでもわかる、私の前だと恥ずかしいんでしょ?代わりに今日は私がいっぱい喋っとくね。津美紀聞いてよ、昨日恵がね、私がお風呂から上がったら炬燵で寝てたんだよね。ちょっと私が揶揄ったら恵ったら寝ぼけて私のこと押し倒…」
「その話はやめろ」
「痛っ」
「お、思ったより混んでないじゃん」
名前さんと病院を後にして駅まで来ると、「せっかくだし初詣行こっか」と誘われるがまま、自宅の近くの神社に赴くことになった。
昨夜のいざこざは俺の中で一旦消化されて、どうにか今は名前さんと普通に接することが出来ていると思う。
駅から歩いて神社へ向かうと、人だかりが見えてきて俺は小さく息を吐いた。地元だしそんなに規模が大きい場所じゃないから混んでないだろうと踏んではいたが、元日とあって小さいなりに屋台も出てるし、そこそこ人の数は多い。
「恵、人混み苦手だっけ」
「…はい」
「大丈夫?」
「まあこれくらいは許容範囲内です」
「なら良かった」
参拝をすべく本殿に二人で並んでいると彼女はスマホを触り始めた。隣にいる俺の方が背が高いせいで自然と画面に目が入る。…男からの個人的な連絡は多分だが五条さんのみでホッとしている自分がいる。それにしてもすごい通知の数だ。80件くらい来てるぞ、メッセージ。
「…うわ、悟くんから超めんどくさそうな連絡来てる」
「何関連ですか」
「私の同級生のやらかし案件」
「…リボ払い繰り返してた元カノがいる人?」
「そ」
名前さんは目を細めて五条さんからのメッセージを読んでいるらしい。
「その人がね、百鬼夜行で京都に派遣された時に京都の偉い人をボコっちゃって…もうそこから私が悟くんに頼み込んでいろいろやってもらって、私もいろいろやって、そんで今」
「…偉い人をボコったんですか」
「そうだよ、ほんとヒヤッとした。私はその時新宿に派遣されてたから細かいことはよく知らないんだけどね」
また厄介ごとに巻き込まれている…。お人好しなのは以前からだが、名前さんは同級生にもそれを発揮しているらしくなんとなく苦労が滲む姿に俺も流石に同情した。
「恵は頼むからムカついても偉い人のことボコらないでよ?」
「しませんよそんなこと」
「悪いことする時はバレないようにやらないとダメなんだからね」
その理論もどうなんだと思うが。
名前さんは唇を尖らせながらスマホの画面と睨めっこをしている。五条さんに何やら返事をしているらしい。
「てか、恵学校何日から始まるの?」
「…5日」
「ふーん」
名前さんはスマホを仕舞うと俺を見上げて少し笑った。寒さで息が白くなっている。
「絶対任務入れられるよ。3日か4日。多分私と」
「そうっすか」
まあそうだろうな。名前さんと一緒ならそんなに嫌ではない。
列が少し進んだので俺も一歩踏み出した。つられて名前さんが一歩踏み出す。その時、ちょうど「あれ?伏黒?」と声をかけられて振り向いた。名前さんも振り向く。
「わ、やっぱり伏黒だ。初詣とか来るんだ」
…誰だコイツ。向こうは俺を知ってるが、俺には向こうの記憶がない。多分1年か2年の時に同じクラスだった女なのではないかと思うが、関わりがほぼ無かったので思い出せない。
「恵、お友達なんじゃないの?挨拶しなくていいの?」
「…誰かわかんないんですけど」
「ええ?そんなことある?」
正直に俺がそう言うと名前さんは困った顔で笑った。適当に話合わせて流しなよ、と言われたが、俺はあまり遠慮がないタイプだ。知らない女に何で挨拶しなくちゃいけないんだ、そもそも。
「ねー伏黒、横の女の人、誰?」
「…誰でもいいだろ」
「えー、教えてよ」
何だこいつ馴れ馴れしいな。
俺が目を細めて女を睨むと、途端にびびったのか黙り込んだ。空気が悪くなったのを察して名前さんが女に声を掛けようとしたが俺が制すると、また困った顔で俺を見上げる。俺はため息を吐いた。
「…彼女」
「え?」
「だから彼女。…もういいだろ、どっか行け」
めんどくさくなって俺が勢いでそう言うと、女は近くにいたらしい友達と連れ立ってそそくさと去って行った。
清々した、と思った瞬間自分が口走った内容を反芻して何とも言えない気持ちになる。ちらりと名前さんを見るとニヤニヤ笑いながら俺のダウンのポケットに手を突っ込んできた。
「へー、知らなかった。私って恵の彼女だったんだ」
「…すみません、そういうことにしました」
「別にいいよ。面倒くさい相手っているからね。今日は特別に彼女になっといてあげる」
俺は目を泳がせているのに名前さんは特に気にしていないのか、それだけ言うと懐から出した財布で賽銭をいくら入れるかを考えることに集中し始めたらしい。
少しくらい意識してくれただろうか、なんて俺のささやかな期待など彼女には多分微塵も伝わっていない。
別にいいなら、本当に俺の彼女になればいいのに。
好きじゃない男と何となくで付き合うくらいなら、俺と本気で付き合えばいいのに。
…俺を好きになればいいのに。
「私毎年さ、初詣のために五円玉を集めてるんだけど、よりにもよって今日それ持ってくるの忘れた」
「…ご縁があるようにってやつですか」
「そう。あーあ、使い所失ったわアレ。ただ五円玉大量に持ってる人になっちゃう」
残念そうに名前さんが財布の小銭入れを見つめている。
俺もその手元を見つめると、確かに十円玉が数枚と500円玉と100円玉が数枚転がっているのみだった。
ちなみにそんなことを気にしない俺はもちろん五円玉を持っていない。
恵持ってる?と聞かれて首を横に振ると、だよねーと名前さんは財布から100円玉を取り出すのだった。
「おみくじ引こうよ」
昼時だからか人だかりが少し落ち着いてきた。名前さんと参拝して本殿から逸れると、御守りやらお札やらが販売されている傍におみくじがある。さほど混んでもいないのでいいか。俺が頷くと名前さんは嬉しそうに微笑んだ。
「大吉出ろ大吉…!」
100円を払ってじゃらじゃらとおみくじを揺する名前さんを見ながら、俺も黙っておみくじを引いた。
番号を伝えて紙を受け取ると、名前さんが「せーので一緒に見よ!」と言うので紙を閉じたまま移動する。
「大吉な気がする」
「見ますか」
「うむ」
ぱ、と二人同時におみくじを広げる。
「…んー!小吉!なんとも反応し難い…」
「……」
「恵は?」
「…大吉」
「うっわ、ほんと?」
ぺら、と紙を名前さんに見せると彼女は悔しそうに目を細めた。別にこういうのって勝ち負けじゃないだろ。
ちらりと俺の手元のおみくじを見つめながら、名前さんが自分の結果と比較している。
「願望、"思い通り、しかしやり過ごすと悪し"。お、恋愛は"意志を強く持って叶う"だって。待ち人、"必ず来る"…ふーん。建築、"踏み込んで買うが良し"。旅行、"良し"。恵は?」
黙って二人で同じ部分を目で追う。
願望、"必ず叶う"。
「恋愛、"思いやりを大切に"だって。ウケるね。待ち人、"必ず来る"。お、一緒だ」
思いやりを大切に、が何故かツボにハマったらしく名前さんはニヤニヤしながら持っていたおみくじを細長く折りたたむ。
俺はもう一度読み返した。待ち人、必ず来る、か。
「…結びますか」
「うん、小吉だったからね。恵は大吉だったから持って帰りなよ」
願望が必ず叶って、待ち人が必ず来るならもうそれ以上のことはない。
津美紀が目を覚まして、名前さんが俺を…まあ強いて言えば、意識さえしてくれれば十分だ。
「待ち人ってさ、一般的に大切な人って意味だけど、恋愛の相手だけじゃないんだって。家族とか、自分の人生に大きな影響を与える何か特別な人とか、そういう意味でもあるらしいよ」
「…へえ」
「だからもしかしたら恵は高専に入学したらそういう特別な友達や仲間が出来るのかもね。楽しみだね」
ふふ、と嬉しそうに名前さんが笑う。
友達とか仲間とか、そういうものは今まで俺にはいなかった。名前さんは俺のことを友達だと言うが、俺はそんなふうに思ったことはない。五条さんに至っては…まあ仲間と言えばそうなのかもしれないが俺にとっては保護者であり、良く言っても師匠のような存在なのでそういう意識はあまりない。
「…はい」
俺が頷くと、名前さんはただ微笑んで黙って俺を見ていた。
「何ですか」
「んー?何でもない。恵、それよりあれ。さっきの子達」
名前さんは微笑んだまま、そばの木の枝におみくじを丁寧に結びつけながら視線だけを投げてくる。つられて俺もそちらを見ると、さっき声をかけてきた同級生らしき女達だった。俺たちを見て何か言いたげな様子でひそひそ話しているらしい。
まだいたのかよ。
「手繋ご」
名前さんは何を思ったのか突然そう言うと、俺の手からおみくじをそっと奪い、手を握った。よりにもよって恋人繋ぎで。反射的に固まる俺をよそに、彼女はにやりと意地の悪い笑みを浮かべる。
「…何、してんですか」
ひんやりとした名前さんの手が、緊張と動揺で固まった俺の指に絡まって少しずつ熱を持ち始める。自分でもわかるくらい、多分今の俺は耳が赤い。
「だって今日の私は恵の彼女だもん。手くらい繋ぐでしょ」
名前さんがさっきの女達に会釈して笑いかけている。牽制ともとれるようなその行動。俺は反応に困った。
「…変な噂になりますよ」
「どうせもうなってるよ。私ちょいちょい恵のこと任務で学校に迎えに行ってるでしょ、あの子達だってそれくらい気付いてるって」
「……」
それはそうかもしれないが。
「嫌ならやめる?」
「……」
嫌ではない。寧ろ嬉しい。でもそんなこと言えない。言えるわけがない。
俺は深いため息を吐くと、繋いだままの手を黙ってコートのポケットに入れた。冷たいポケットの中で二人分の体温が絡まって、じんわりと温かくなってくる。
「…やめません」
名前さんが不思議そうな顔で俺を見上げた後、少しだけまた笑った。
「伏黒って彼女いたんだ…なんかショック」
「あの女の人何回か見たことある。他校の学生でしょ?てか多分高校生だよね?伏黒が喧嘩してるの見ながらいつもゲームしてる人」
「え?そうなの?」
「なんか一緒に車乗ってたのも見たことあるし、マジで付き合ってるんじゃない?ほら恋人繋ぎしてるじゃん、絶対そう」
「えーやっぱそう?うわーちょっと…新年早々本当にショックすぎる……」
「でもお似合いだったな…」
「な…」
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お正月ネタ盛大に遅刻ですみません。
あけましておめでとう、今年も伏黒恵は名前さんを頑張って追いかけてください、応援しています。(?)
20250109
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