『学生寮に未確認の呪霊の出現、学生は直ちに避難・応戦を…』

拡声器から聞こえるアナウンスを耳にしながら、虎杖くんと恵と共に走って学生寮を出る。
恐らく私を狙った強襲と思われるが、肝心のメインの呪霊や呪詛師がどこにいるかわからない。
雑魚っぽいのがどんどん湧いてきているのだけはわかるから、首謀者は遠くない場所にいる。……何より気になるのがさっき、改造人間らしきものを一体見かけた。
ただの強襲なら私が指揮をとって動いた方がいいが、さっきの恵のプランが私は気になっていた。
つまりこれは誘われているかもしれないのだ。

「伏黒、どうする!?」
「……このまま高専を出る」

恵も先ほど見かけた改造人間の姿に気づいていたようだった。それはつまり、私達が接触を試みたいツギハギ呪霊もここに来ていることを暗に示している。

「え?!学生寮の呪霊は?!」
「今はいい。どうせすぐ先生達が駆けつけるし、低級呪霊が多いから最悪学生だけでどうにかなる」

恵の判断に任せよう。
私も頷いて二人の後を追う。寮を出て裏手から高専の結界を出ようとした瞬間だった。

「ねぇ、三人でどこ行くの」

聞き慣れた、けれども少しだけ怒気を含んだその声に私たちは一斉に振り向いた。
五条悟が、目隠しを外して浮遊しながら私達を見下ろしていた。

「五条先生…!」
「一年生の護衛任務はもう終わったはずだけど?僕の許可もなく特級案件の護衛対象と勝手行動は困るな」
「……」
「恵、僕をこれ以上怒らせないで」

不機嫌そうに悟くんが目を細める。恵のプランの詳細はよくわからない。でも今悟くんに捕まるのはまずい。…多分だけど。だってこれはツギハギと会うチャンスかもしれないんだ。この強襲もツギハギが関係しているなら、悟くんはここで撒かなければいけない。
どうしよう、どうする?

「五条先生、俺はやっぱり名前さんを助けたいです」
「……」
「この人がいない人生を、俺は生きたくない」
「…また私情?」
「はい」

恵はそう言うと私の手をぎゅっと強く握った。どくどくと自分の心臓が早鐘を打つのがわかる。
私のいない人生を、生きたくない、か。
恵が恥ずかしげもなく悟くんにそう言ってくれたことが嬉しい。自分の頬が少し熱くなるのを感じながら浮遊する悟くんを見上げると、彼はやはり黙ったまま恵を睨み付けていた。何か言いたげに目を細めて、でも何も言わないでポケットに手を突っ込んで。

「足掻けるだけ、足掻かせてください」

私がちらりと虎杖くんを見ると目が合う。彼は筋肉オバケだ。倒れた私を抱えて爆速で走るのくらい、多分難はない。恵が今の計画の核である以上、恵を悟くんとぶつけたくない。
…じゃあやっぱり私がやるしかないでしょ。

「恵と虎杖くん、離れて」
「名前さん?」
「…時間稼ぐ。私が動けなくなったら虎杖くん私のこと抱えて走れる?」
「え、あ、おう」

恵は察しがついたのか少しだけ迷うように私を見つめて、渋々手を離した。時間がない。悟くんに全員ボコられるのだけは勘弁だ。何より今はチャンスなんだよ。

「虎杖、離れろ」

恵と虎杖くんが離れたのを確認して私は掌印を結んだ。チャンスは一回。
これをモノにできれば私の勝ち。

「悟くんと私で領域の押し合いしたら何秒くらい保つと思う?」
「今の僕は1秒も保たせないよ。名前が僕と領域の押し合いなんて100年早い」
「…じゃあ試してみようよ」
「は?」
「それに、こんだけ生徒にナメられた状態で領域も展開せず私を逃すなんて、悟くんはっきり言って超ダサい。…本当に最強なの?」

かちん、と音が聞こえそうなほどに悟くんの額に青筋が浮かぶ。うん、完全にご機嫌ナナメまで持ち込めた。

「誰がお前を逃すって?」
「…領域展開」
「させるわけねーだろ!」

悟くんが不敵に笑いながら私に突っ込んでくる。悟くんが右手で帝釈天印を結んでいるのが見えた。…来る。来るぞ。

「領域展開 無量空処」

…きた。

「シン陰流 簡易領域」

掌印を解いて屈んで簡易領域を展開する。悟くんの無量空処は発生が速い。間に合うか微妙なので一応脳を呪力でガードしてはいる。ちなみにギリギリ私の術式に呪力は流れ込んでいないから、私の領域展開は発動しなかった。
それに気付いた瞬間、悟くんが目を見開いて一瞬驚いた後、私を睨んだ。…五条悟ともあろう男が此れしきのことで焦りすぎだ。実際のところ精神的な面で余裕ないな、多分。

「僕と領域の押し合いをしたかったんじゃないの?名前ってば嘘つき」
「知らないの?優秀な呪術師はみーんな嘘つきなんだよ」
「お前は確かに優秀だったね。…でも僕から逃げる悪い子に育てた覚えはないんだけど」

簡易領域なんて悟くんの無量空処の中ではあまり意味がない。どうせすぐに剥がされる。でもそれでいい。私が悟くんと領域の押し合いなんかしても、彼の言う通りこっちが消耗して突破されるのが関の山。下手したら本当に1秒と待たずに塗り替えられるだろう。

「別に逃げてないけどね。それに私はずっと、良い子のフリした悪い子だったよ」
「へえ、知らなかった。因みに僕は悪い子も大好き」
「そういうのキモい」

しかしいくら天下の五条悟と言っても、"領域展開直後、全ての術式が焼き切れる"のは人間である限り等しく同じルールだ。

「つまりお前は、僕に無量空処を使わせるのが目的ってことか。じゃあ他にも協力者が…」

私の簡易領域が剥がされていくのがわかる。悟くんの術式は非常に強力、そして彼の呪力効率の良さで右に出る者はこの世にいない。けど術式さえ数分でも使えないようにすれば、多少なりとも時間は稼げる。多分、あの人なら。

凰輪ガルダ!」

パキン、と悟くんの領域の背後にヒビが入る音がした。
閉じた領域はその性質上、内側の攻撃には強いが、外側からの攻撃には滅法弱い。それは五条悟の無量空処もやはり同じ。
完全に私の簡易領域が剥がれ落ちる前に、無量空処が崩壊する。

九十九由基の、外側からの攻撃によって。

「そう来るんだ?」
「九十九さんナイス!無量空処、1秒も喰らわずに済んだ」

悟くんが舌打ちをする。
九十九さんは丸まったボールのような式神を蹴って悟くんの領域に外側から莫大なエネルギーをもって攻撃したらしい。さすがに特級術師とあって桁違いのパワーを持つその攻撃を、外側からダイレクトに叩き込まれたせいで悟くんの領域は大きなダメージを受けたようだった。
九十九さんなら、術式焼き切れ直後の悟くんの"アキレスと亀"とやり合うことくらいできるかもしれない。というか出来て欲しい。

無量空処が完全に壊れたのを確認して、私は後ずさった。瞬間、恵の渾が吼える鳴き声が聞こえて、誰かが私の身体を抱え上げた。

「虎杖くん…!」

いつの間に戻って来ていたのか、虎杖くんの肩にひょいと担ぎ上げられる。悟くんは九十九さんのサッカーボールのような式神を足で踏みつけて止めていた。だが力がやや拮抗しているのか、悟くんが踏みつけた部分がクレーターのようにボコンと凹んでいる。

「五条くんに領域展開を使わせたね。よくやった、名前ちゃん」
「…九十九さんも"そっち"の肩持つ気なわけ?」
「悪いね、五条くん」

悟くんが不機嫌そうに九十九さんを睨んだ。

「悠仁、」
「先生ゴメン」
「…」
「本当にゴメン。でも俺、伏黒と名前さんを助けたい」
「……」
「罰なら何でも受けるし、ちゃんと二人を高専に返すから。だからちょっとだけ時間ちょうだい」

虎杖くんが懇願するようにそう言うと、悟くんはまた舌打ちをした。機嫌が悪い。そりゃそうだろう、虎杖くんも九十九さんも、悟くんの邪魔をするんだから。

悟くんは小さくため息を吐くと、青くきらめく双眸を悩ましげにゆっくりと閉じた。

「恵も悠仁も好き勝手しやがって。……5分だよ。5分で戻らなかったら僕は名前を捕りに行く。もしその時に抵抗したら、恵も悠仁も殺しちゃうかも。…いいね?」
「わかった!」
「恐ろしいな。任務の為なら自分の生徒にも手を掛けるのかい?」
「九十九さんウルサイ」

悟くんはそう言って九十九さんの式神らしきボールのようなものを踏み潰そうと、無限で足に圧をかけたらしい。その瞬間、ボールの形をしていた式神がぱかんと開いて悟くんの足から抜け出した。
脊椎骨が連なったようなそれは翅を持つ虫のようにも蛇のようにも見える。九十九さんの身体にまとわりつくようにそれは浮遊していた。

「…じゃあ五条くんは5分後、私と殴り合うってこと?」
「そうかもね」

パキキ、と音がして九十九さんの式神が再び丸まっていくのを確認した瞬間、虎杖くんが私を担いだまま走り出した。あまりの速さに目を丸くする私をよそに、虎杖くんは恵から何らかの指示を受けたのか迷いなく山道を下り始める。

「それは困る。五条くんの術式が回復する前に私が叩けるだけ叩いてもっと時間を稼がなきゃ」
「言ってろ。…僕は今可愛い生徒達に裏切られて機嫌が悪いんだ。手加減出来ないよ」









「悟くんの条件にしては甘いね」
「5分で戻らないと俺ら実質殺されるんですよ、結構厳しいでしょ」

虎杖くんに担がれながら山を下っていると、すぐに恵と合流した。そこでやっと虎杖くんが私を下ろしてくれた。筵山麓の最寄駅まではもう直ぐと言ったところ。
虎杖くんは状況がわかっていないなりに、恵の行動に賛同してくれているらしく、私にも恵にも何も文句を垂れずに動いてくれている。

「伏黒、どうすんの。俺は何したらいい?」
「…お前冷静だな」
「時間がねーんだろ?で、細かい話をする余裕もない。俺は伏黒を信じる。だから何したらいいかだけ教えて」

虎杖くんの言葉に恵は頷いた。私は思わず少し笑ってしまう。恵は本当に良い友達を持ったなぁ。

「虎杖くん良いねぇ」
「そう?」
「私も恵を信じる。どうすればいい?」
「戻るぞ」
「「え?」」

恵の提案に私も虎杖くんもぽかんとして固まる。

「え?今高専から出てきたトコ…」
「俺の目的は名前さんを逃すことじゃなくて名前さんを死なせずに助けることだ。5分かけて逃げても五条先生はすぐに俺達を見つける」
「……」
「どうやって助けんの?」

虎杖くんの言葉に恵は一瞬躊躇ってから口を開いた。

「…名前さんの魂の形を変える」

その言葉に虎杖くんの目が鋭くなった。彼にとっては真新しい、ツギハギ呪霊の記憶が呼び起こされているのだろう。虎杖くんが七海さんと担当した任務の報告書は私も読んだ。彼があの任務で何を経験し、何を得て、何を失ったのか。

「さっき寮を襲った呪霊に紛れて、改造人間が何体かいた。…恐らく、虎杖が以前当たったツギハギの呪霊が来てる。これから奴を探して接触する」
「……伏黒、それ」
「虎杖、頼む。何も言わずに俺に従ってくれ」
「…」
「お前は今、俺を信じると言ったろ。…頼む、虎杖。お前の力が必要なんだ」

「あれー?五条悟いないじゃん。…てことはもう俺の好きにして良いよね、この女も、虎杖も」

まるでタイミングを見計らっていたかのようだった。
ねっとりと地を這うような、なのに何処か軽薄で禍々しいその声。初めて聞く声。
虎杖くんの瞳から明るさが消える。
ドス黒く妖しい呪力に流暢な言葉。ああきっと、これが恵の探していた特級呪霊に違いない。ツギハギ面の人型呪霊が愉快そうに私達の背後に立っていたのである。

虎杖くんが何か言おうと口を開いた瞬間だった。

「…代われ、小僧」

私の腕が凄まじい強さで引っ張られる。長く伸びた爪、顔に浮かぶ紋様。先ほどまでとは違う様子に瞬時に理解が及んだ。
これは虎杖悠仁ではなく、両面宿儺だ。

「…!」
「宿儺?出てきたんだね!!」
「伏黒恵、よくやった。以前話した通り、1分間だけ力を貸してやる」

どういうこと?

「…恵?」

恵が宿儺と何か縛りでも結んでたってこと?いつ?どうして?どうやって?

動揺で動けなくなる私。嬉しそうに微笑むツギハギ。
恵はそんな私を見て頷いた。宿儺の指が私の額に触れる。しまった、と思う前に意識が遠のいていく。

「さあ、この小娘の魂の形を変えろ」









「…ここどこ」

私は何をやってたんだっけ。えーと、確か恵と虎杖くんと一緒に…

「おはよう」
「……」
「ん?どうかしましたか?」
「…恵」

恵がいる。なんだか、私の知っている恵よりも少し大人びているように見えるのは気のせいだろうか。
私はベッドで眠りこけていたらしい。ベッドサイドにある丸椅子に座って恵は本を読んでいた。恵は本をぱたんと閉じると、ベッドサイドの机に置いた。
私はぐーぱーと手を開いたり閉じたりして感触を確かめる。

ここはどこだろう?
私の部屋じゃない。恵の部屋でもない。病室でもない。知らない家だ。

「疲れて寝てたんです。覚えてませんか」
「……そう、なの?」

真っ白な壁に、恵の背後から見える大きな窓は私の知らない町並みを映していた。海辺の、穏やかな波が寄せては返すような景色。何軒も家が建っている。ここは小高い丘に位置しているらしく、その景色を一望することができる。
ここは一体どこだろう。どこかで見たような気もするけど、思い出せない。

「恵、私ちょっと記憶が曖昧で」
「……」
「…あの、何があったのか教えて欲しいんだけど」

そう言って私が体を起こすと、自分の着ている服に違和感を覚える。真っ白なワンピースだった。こんなの持ってたっけ?

「何がって?」
「えっと…」
「別にいつも通りです。さっき二人で昼食を食べてベッドに潜ったら名前さんが疲れて寝てしまったので、俺は本を読んでいただけですよ」

そばに座る恵を見ると、彼はいつも通りのスタンドカラーのシャツにスラックスだった。高専の制服をお互い着ていないことに違和感を覚える。

「…そうだったっけ」
「はい」

そっと恵が私の手を取った。優しくて温かくて、大きな手。視線を落とすと、お互いの左手の薬指にきらりとプラチナの指輪が光っているのがわかる。
指輪?こんなもの、一体いつ…?

「…恵、これ」
「?」
「こんな指輪、私達…いつ…」

何だろう、何かがおかしい。

「ずっと前に買いましたけど」
「…ずっと前?」
「俺が18になった日に、二人で見に行ったでしょう。その日に入籍もしました」
「……」
「…どうしたんですか?」

18?
そもそも恵はまだ誕生日が来ていないから15歳のはず。
どういうこと?時間がそんなに経っているの?じゃあ目の前にいる恵は一体何歳?私達って結婚してるの?

「名前さん、」
「…恵」
「何か混乱してるんですね。寝惚けてる?昔のことを思い出したんですか?」

だとしたら、おかしい。何故私は何も覚えていない?
目の前の恵は、本当に私の知っている恵か?

「…何も思い出さなくていい。都合の悪いことは忘れて、俺と一緒にいましょう。ずっとここで、二人で」

目の前の恵の言葉で私は我に帰る。呪力は練れる。身体も動く。どうにかなりそうだ。
私は恵の胸ぐらを掴んで突き飛ばした。素早く受け身を取った恵(の姿をした別の何か)が壁に叩きつけられる。

「で、お前は誰だよ」

そう吐き捨てながらベッドから降りて恵の頭を掴んで顔を覗き込む。着ていた白いワンピースをびりびりと破いて脱ぐと、内側から見慣れた高専の制服が出て来た。何だこれ。夢か?夢にしては変だ。

「何で気づいたの?」
「恵はそんなこと言わない」
「…ムードのない女」

ゆっくりと顔を上げる恵に似た何かは、恵の顔のままニヤニヤと笑みを浮かべて私を見ていた。
そっか。なるほどね。ここは領域だか生得領域だからの中ってことか。

「オレ伏黒恵のことよく知らなくてさあ、まあ恋仲っていうんだからこういう感じかなと思ってたけど、もしかして似てなかった?」
「全ッ然似てない。恵への熱い風評被害やめてくれる?」
「ハハハ!でもこれはお前が望んでる心象風景でもあるみたいだよ?俺は別に伏黒恵に化けてお前の魂に触れてこのビジョンを引っ張り出して来ただけ。この心象風景を映してるのはお前自身の心なんだからさ」

そう言って笑う恵の姿をしたそれ。

「本当は何もかも投げ捨てて、好きな男と逃げて幸せに暮らしたいんだね?そんなことお前に出来るわけないのに!」
「うるせーよ、引っ込め。…お前ツギハギだろ」

私がそう言うと笑ったままの恵…もといツギハギ呪霊が私に手を伸ばして来たので間合いを取る。
確か手で直接触れられたらダメなんだったっけ。でもここは私の心を無理矢理映した相手の生得領域か?何だったかな、魂に直接触れられる領域とかなんだっけ?でも領域ってよりかは、まるで頭の中を覗き込まれているような感じがする。
ならここは、もしかして、

「真人、だっけ?名前」
「…あ?」
「私の魂の形、もう変えてくれたの?」
「さあね?ここから出られたらわかるんじゃない?」
「そ。じゃ、出るわ」
「何言ってんの、簡単に出られるわけ…」

ここは私の生得領域なんじゃないの?

「真人」

そう、確か真人。虎杖くんと七海さんが記したあの報告書にはそう書かれていた。殺された吉野順平という少年にそう呼ばれていたらしい。
呪霊に名前があるのも驚きだが、まあ意思疎通ができれば名前が必要になるのも頷ける。

真人。私を助けてくれてありがとう。でもごめん、恩は仇で返すね。
恵の顔のまま向かって来た真人の手首を掴んで今一度床に叩きつける。体が変形して、どろりと人から呪霊へと姿を変えるそれを見て私は微笑んだ。

「私はここを出る。この領域を破壊して、お前は私とここから出るんだ」
「…は?」
「真人、私に従うと言いなさい」
「…な、んで」

ぴし、と領域にヒビが入り、景色が液体を模したマーブル模様のようにぐにゃりと歪むのがわかる。海辺の小高い丘の家は、私の心象風景か。そんな暮らし、確かに少し憧れたこともある。雑誌か何かで見た景色だ、道理で馴染みがないわけだ。

こんなのは理想だ。確かにこうして、呪霊のことも呪術師も何も考えずに、好きな人と好きなだけ好きに過ごせたら幸せかもしれない。
でも、そんなことはできない。私に与えられた力は人を救うためのものだと思う。人を救うために使いたい。
やっぱり私は人を救うために、生きたいの。だから私は、ここを出る。

「私に従うと言え、真人」







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