「で、どうやって伏黒を手篭めにしたのよ」
「嫌な言い方するね」
釘崎野薔薇に対する俺の所感は、可愛い・おしゃれ・小ちゃい、でも性格がキツい・故に勿体無い、である。
呪術師って本当にキツい女と変な女ばっかりなの何でなんだろうと以前五条先生と話したことがあるが、キツい女と変な女しか文字通り生き残れない仕事だからじゃない?と言われて腹落ちした記憶がある。
野薔薇ちゃんも典型的なキツめの女術師だ。長生きするんだろうな。
そんな野薔薇ちゃんに単刀直入に恵との関係性をずけずけと聞かれて俺は曖昧に笑うしかなかった。手篭めか、まあ真希から俺の話を聞いてるならきっと誰もがそう思うだろうよ。……本当は恵の方から俺に告白してきたんだけどなぁ。
「だってどう考えてもそうでしょ?女取っ替え引っ替えした挙句男にまでって本当にヤバいじゃない。女じゃ飽き足らずってこと?」
「あのね、俺はちゃんと好きになったから恵と付き合ってんの。男だとか女だとかヤりたいとかもうそういうんじゃないの、愛だよ愛、ラブってやつだよ。ドーユーゥアンダスターン?」
「……ふーん?」
ちゃんと好きになった、と自分で認めるのは何だか小っ恥ずかしい。
頸を掻きながら誤魔化すようにそう言う俺に、野薔薇ちゃんは訝しげに眉を顰めながら手に持っていたカフェオレの缶を傾けた。それさっき奢ってやったのに態度悪ィ、この子。
何で俺と野薔薇ちゃんが二人でだらだらとくっちゃべっているかと言うと、真希とパンダが任務に手こずり遅刻、おまけに棘と恵はそれぞれ単独任務で、体術訓練のためにグラウンドに来た人間が俺と野薔薇ちゃんしかいないからである。
真希がいないとなればこっちのもんで、早速「なんか飲み物奢ったるからサボろうぜ!」と野薔薇ちゃんを連れて自販機の前に来たのが5分ほど前だった。
よく考えたら野薔薇ちゃんとは膝を合わせてそこまで話したことはないし良い機会だった。
「女に節操ないから名前くんには気をつけろって真希に言われたんだろ、どうせ」
「まあ確かに、女性の術師は全員アンタと1回は寝てるって聞いた」
「いや流石に全員とは寝てねぇわ」
あのゴリラ女……有る事無い事言いふらしやがってと俺が薄く額に青筋を浮かべるが野薔薇ちゃんは気付いていないらしい。
まあ確かに何人かそういう感じになったことはあるし、俺が童貞卒業した相手も術師ではあるが、全員はさすがに抱いてない。……多分。歌姫先生とかには手出してない。あの人なんかめんどくさそうだし30過ぎてんのに処女っぽいし、偏見だけど。あと中途半端にちょっかい出すと五条先生に怒られそう(これも偏見)。
「少なからず心当たりあるんでしょ?」
「別に今はそういうのないし」
「ちょっと待って、"今は"って何よ」
「言葉通りだけど」
「……は?」
「恵と付き合う前は野薔薇ちゃんともワンチャンあるかなーって思ってたけど、今はそんな気起きないな」
俺の言葉に野薔薇ちゃんはぽかんとした後、何か言いたげに眉間に皺を寄せてから少しだけ頬を赤くした。やべ怒らせたかも、とヒヤヒヤしながら隣に座る彼女を黙って見下ろしていると、野薔薇ちゃんは一つため息を吐いた。
「……なんかそれはそれでムカつくわね」
「何でだよ」
野薔薇ちゃんはイライラした様子で唇を尖らせると、ベンチに腰掛けたまま足を組み替える。俺も隣に腰掛けてコーヒーを流し込んでいるのだが、野薔薇ちゃんの小ささたるや。合宿の時も思ったがこの子すごくちっこくない?俺の知る女の基準が真希と真依なせいもあるけど……まああの二人はスレンダーだが身長が高いし。
「生物として認識されてないっていうか」
「そんなことない。認識してるよ。バキバキに女として見てるし。……野薔薇ちゃんがいいなら一回手出しとこうか?」
冗談まじりに野薔薇ちゃんの肩をそっと抱いてみる。俺としちゃ同期の棘やパンダとやるいつもの悪ノリの延長なんだけど今回はビンタされそうだ。まあいいやビンタされとこ、と思いながら小さな肩をさりげなく撫でると野薔薇ちゃんはまた顔を赤くして「っやめなさいよ」と俺の手を軽く振り払った。……なんか思ってた反応と違うな。普通に可愛い感じなんだけど。もっと真希みたいにグーパンで殴りかかってきたり釘打ち込んできたりしそうなのに。
「きもいわよ、そういうの。何がラブよ、伏黒に嫌われろ」
「冗談だよ」
「冗談でもそういうのやめなさいよね」
ベンチに座ったままわざとらしく距離を取る野薔薇ちゃんから腕を離して足を組み替えた。もちろん全部冗談なのだが、田舎育ちの彼女に俺のスキンシップはやや過激だったらしい。怒っているのかと思ったけどどうも照れてるみたいだった。……そうか。この子は普通に、女の子なんだな。こと異性関係に関しては普通の感性を持つ年頃の女の子なのか。じゃあ俺みたいな男が気安く触っちゃダメだったな。
「ごめんね」
内心少し反省しながら謝ると、野薔薇ちゃんは上目遣いで俺を見つめて意外そうな顔をしていた。まさか謝られるとは思っていなかったのだろう。
「別にいいけど」
「ありがと、可愛いね」
「……口を開けば口説こうとするの、ヤリチンぽい」
「酷ぇ〜」
「人に可愛いって言うの、言い慣れてるでしょ」
野薔薇ちゃんの言葉に無言で微笑むと、「図星ね」と言われて俺はさらに閉口した。この話終わろう、野薔薇ちゃんとこんなこと話してても何もいいことないや。
そこでさっき通知来てたのを思い出してスマホを取り出した。昔のセフレちゃんたちからちょこちょこ連絡が来ていたが全部未読にしたままで恵とのトークを開く。
俺が学校にいて恵が任務っていうのは結構珍しい。まあここのところ俺の方が詰め込まれてたしなぁと思いながら恵からの連絡を目で追うと、嬉しい報告だった。
『今終わりました』
お、早いじゃん。
『おつかれ』
『高専いますか?』
『いるよ。野薔薇ちゃんと体術訓練サボって自販機前でデート中』
素直にそう返すとすぐにまた返事が来る。
『良いご身分ですね』
恵の可愛いとこその1。俺と女の子が二人でいるとちょっとピリッとするとこ。恵と付き合ってから俺は女の子と一度も寝ていないし、恵以外とシないと約束したのだがだとしても気分は良くないらしい。じゃあお前これから俺が野薔薇ちゃんと二人で泊まりがけで任務とかなったらどうすんの?と思うのだが、可愛い嫉妬だと思えば全然許せる。
『他の2年いないし、恵もいねーんだもん。真面目にやるわけない』
『釘崎に変なことしないでくださいよ』
どの口が言うんだよ。本心はそれじゃねぇだろ。
俺はニヤニヤ笑って既読だけ付けてスマホをポケットに仕舞う。そんな一連の俺の様子を見て野薔薇ちゃんが「伏黒でしょ」とまた眉を顰める。
「何でわかるの?」
「だらしない顔でニヤニヤしてたから」
「やっぱわかる?恵が可愛いこと言ってると俺ニヤニヤしちゃうんだよね」
「同期と先輩ののろけキッツい」
「羨ましいだろ〜」
呆れた様子で野薔薇ちゃんは立ち上がると、飲み干したのであろう缶をゴミ箱に捨てた。
「てか、私のことダシに使って伏黒とイチャイチャしようとすんのやめてよね。当て馬とか御免だから」
「野薔薇ちゃんて本当に鋭いよね、呪術師向いてるよ」
「褒めてねぇだろそれ」
「恵ー、おかえりぃ」
任務を無事に終えて高専まで戻ると、ワイシャツ姿の名前さんが手を振っているのが見えて自分の顔が綻ぶのを感じた。俺は単純だ。伊地知さんが運転していた車から降りると、名前さんがペットボトルの麦茶に口をつけるのをやめて「早かったね、さすが優等生くん」と俺の肩を抱きながら報告書を覗き込む。
露骨にべたべたしてくるのが嬉しいけど一応人目を気にして俺が少しだけ嫌がる素振りを見せると、名前さんはますますくっついてくる。
「……シャワー浴びました?」
「わかる?」
寮の自室に戻る、と名前さんに告げると勝手についてきたのでそのまま部屋に上げた。部屋について早々に俺から抱きつくと、名前さんが背中を撫でながら腕を回してくれるのですりすりと頭を擦り付ける。……嗅ぎ慣れつつある名前さんの匂いだが、今日はいつもの香水の香りがしない。その代わりに覚えのあるボディソープの香りがする。
「……釘崎と浮気してたんですか?」
「んなわけねーじゃん、トレーニングルームで筋トレして汗かいたから浴びただけ。あ、でも恋バナはした」
「……」
「疑ってる?」
「じゃああんな連絡寄越してこないでください、普通にモヤモヤするんで」
俺がそう言うと名前さんのワイシャツのボタンを幾つか外して首筋に唇を這わせる。わー、積極的じゃん、なんて軽く笑う名前さんを無視して首筋にぢゅ、と吸い付く。
ごめんねくらい言えよ、と思いながらきゅっとシャツの裾を握る。釘崎と何を話していたんだろう。俺のこと?それとも、釘崎のことも可愛いねって口説いてた?
この人、無意識なのだろうが女にはみんな「可愛い」って言う癖がある。挨拶みたいに言うから俺はその度にイライラしてしまう。
「その位置だと服着ても見えちゃうよ」
「……困りますか?」
「俺は困らないけど、恵が困るんじゃねぇの」
「なんで」
「えっちしましたってみんなにバレちゃうよ」と悪戯っぽく余裕たっぷりに笑う名前さん。俺は無表情のままぷちんぷちんと名前さんのシャツのボタンを外すと、前をはだけさせた。ぼこぼこした腹筋のラインを撫でると、くすぐったいのか名前さんは目を細める。筋トレしたって言ってたのは嘘じゃなさそうだった。胸筋や腹筋がパンプアップしている。……名前さんの筋肉、好きだ。着痩せしてるけど、脱ぐと凹凸のある腹筋とか、俺より大きい背中とか、形の良い胸筋とか……腕の血管、とか。
抱かれている時に背中に爪を立ててしまったり、イく時に胸筋に汗が滲んでたり、腹筋に俺のをかけてしまったり、見るだけでいろいろと思い出してしまって目を逸らした。
それから「擽ってぇ」とはにかむ名前さんをわざと無表情で見上げる。俺は怒ってない。疑ってもいない。だって相手は釘崎だ。そんなこと起きるわけない。
それでもわざと不機嫌な振る舞いで名前さんを少しでも困らせて気を引きたいと思ってしまう。
俺は人に甘えるのも不満を言うのも下手だ。というか甘え方がわからない。正論を突くのは得意だが、そこに感情を乗せるのは苦手だ。名前さんはそんな俺を甘やかすのが上手い。今まではそれだけで、そうして名前さんが俺を見ていてくれるだけで満足だった。でも付き合い始めてから、もっと欲しいと思ってしまう。もっともっと、俺のこと甘やかしてほしいって。
でもそうなるとすぐセックスを強請るみたいなことしか出来ない。別にそうしなくたっていい、ただくっついてキスして、一緒に眠るだけだっていい。それで…………それで、可愛いって簡単に他の女に言うのやめて欲しい……そういうのって、どう言えばいいんだ?
「恵?」
「任務の後なんで、昂ってるんです」
「……へぇ」
名前さんのスラックスに通したベルトに手をかけると呼び止められた。らしくない台詞を吐くと名前さんが目を細める。自分の行動を正当化しようとしている俺に何を思ったのか名前さんは悩まし気に一つだけため息を吐くと俺の腰を掴んで肩に引っ掛けて、米俵を担ぐように持ち上げられてしまう。
「……は?!」
「詳しい話はベッドで聞こう」
そう言われてぼすんとベッドに降ろされる。起き上がる前に名前さんがのしかかってきて触れるだけのキスを何度もされる。
「今日のお前、なんか変」
「……」
「思うことあるなら言ってくれないとわかんないんすけど。名前くんモテるけど結構ニブいとこあるらしいんだよね、ご存知の通り」
鼻先が触れ合いそうな距離でそう尋ねられて俺は黙った。……見透かされているに違いない。だけど何て言えばいいのかわからない。俺が顔を背けて沈黙すると、今度は名前さんが俺の制服のボタンを外し始めた。
「恵はさ、本当に今こういうことがしたい?」
「……っ」
「最近俺が思ってたのはお互い忙しいから時間見つけてもヤってばっかになってたなーってことなんだけど」
俺がさっきやったみたいに首筋に吸い付いてくる名前さん。ちくんと痛みが走る。
「……その位置、見える、から」
「そうだよ。みんなに見せるために付けたんだから」
「……」
「恵がしたいならいつでもするけど、しない日があってもいーんだよ。……俺はな」
ちゅ、と今度は額に口付けられて顔が熱くなる。今しかない、と俺が名前さんにしがみついて自分からキスをすると、名前さんは驚いたように目を見開いた。
「俺も、同じこと、思ってた」
「……そっか」
「でも、わかんなくて」
「何が」
「何て言えば、いいのか」
甘え方がわからない。名前さんにどう言って、何をすればいいのかわからなくなる。以前の俺はどうしていただろう?
「そんなん、思ったことそのまま言えばいいんじゃねーの?恵は何でも行動で示したがるけどさ、俺は言葉も大事だと思うよ」
「……言葉」
「言葉と行動がちゃんと一致してたら、その言葉には意味があるだろ」
例えばさ、と名前さんに腕を引っ張られて抱き起こされると、そのまま名前さんの胸の中だった。
「……もっと甘えていいよ」
「……!」
「わがままとか、してほしいこととか、逆にやめて欲しいこととか?そういうの言ってくれた方がいい」
「それ、重くないですか」
「重くていいじゃん。恋人なんだから」
ちゅ、と今度は耳朶に唇を落とされる。
――いいのだろうか。名前さんはそんな俺を嫌になったりしないんだろうか。
「名前さんが面倒だって思ったら嫌で」
「まあ確かにあまりにも束縛とか酷いと面倒だとは思うかも」
俺が黙ると名前さんは「え」と驚いたように俺の顔を覗き込んでくる。
「ほら、監禁して誰にも会うなとかさ、そういうのはヤメてね……?」
「俺がそんなこと言うと思います?」
「いやいや、流石にないと思うけど」
「でも、……言いたいことある」
「何」
「……可愛いって、俺以外のやつに言わないで」
目を逸らして小さくそう言うと、名前さんは数秒固まった後「ごめん、もう言わない」と少しだけ申し訳なさそうな顔で答えてまたキスをくれた。その一連の様子で今日釘崎にも言ったんだなとわかってしまった。……でも、もう言わないならいいか。
だんだん深くなるキスが気持ち良い。夢中で舌を絡めているとそっと顔を離される。
「俺からもいい?」と尋ねられてこくんと頷くと、名前さんは嬉しそうに俺の頭を撫でてポケットから何か取り出した。俺の手を取ってそっと握らされるそれに一瞬何かと目を丸くする。黒い持ち手の小さなそれは、俺が何度か目にしたことのある鍵だった。
「前から渡そうと思ってたんだけどさ」
「……これって」
「俺ん家の合鍵。恵に渡しとく」
ぽかんとする俺の手には黒い鍵がやはり鎮座していて、俺はやや困惑したままに鍵を見つめた。
間違いなく合鍵、だ。名前さんの家の合鍵……。
「いいんですか?」
「いいに決まってんじゃん。いつでも来て。俺がいない時に勝手に入って押しかけ女房しててもいいよ」
そう言って名前さんが俺の頭をそっと撫でるので、自分の耳が赤くなっていくのがわかった。
嬉しくてぎゅっと鍵を握る。……何て言ったらいいかわからない。俺が不安になったりする必要なんかないくらい、名前さんは俺のことを好きでいてくれてるんだ。何も心配ない。だから大丈夫、俺の腹の中にある気持ち全部言葉にしてもきっと問題ない。
そのままぼすっと肩に顔を埋めて「はい」と小さく応えると、名前さんは黙って俺の頭を撫で続けた。
「で、何か他に言いたいことあるなら今がチャンスだけど、どうですかね恵くん」
「甘えたい気分です」
「……どうしてほしい?」
「もっとキスしてください。ダメになるくらい、甘いやつ」
「一応確認だけど、誘ってる?」
「誘ってません」
俺がそう言って鍵を握りしめながら早く、と名前さんの襟ぐりを掴んで強請った。言葉で素直に甘えるってこれでいいのか。名前さんは困ったように微笑んでから耐えるように小さく息を吐くと俺の背中を支えて唇を寄せる。数度啄むように触れ合ってから、再び深く舌を絡められて目を閉じる。
「……んっ……っ……んん」
「……可愛い」
キスが気持ち良いものだって、名前さんとする度に教え込まれているみたいだった。ただ唇と唇がくっついて、もう一歩踏み込んで言えば舌と舌で粘膜接触をする行為。口や舌は声を発したり食事をして味わうための器官で、その役割以外特に必要性なんて感じなかった。だが、その口同士が好きな人と触れ合うことがこんなにも気持ち良いなんて。……人間の身体の構造っていうのは不思議だ。
ぼんやりそんなことを思いながら何度も深いキスをされて、文字通りダメになるくらい甘い行為に腰が砕ける。唾液が絡まる音も、小さく漏れる息遣いも全部俺たち二人だけの秘密だ。
「名前さん」
「ん」
「……すき」
「……俺も好き」
今日はいつにも増して可愛いね、と言われて無視してキスを続けた。俺は可愛くない。名前さんが今まで抱いてきた女達と比べたら、可愛くはないと思う。だって男だし。でもこの人は俺を可愛いと言う。
名前さんの中での一番可愛いものが俺になったのだから、当然なのかもしれない。他人と自分を比べて優越感に浸るなんて愚かだ。そう思ってた。――でも悪くない。
「良い子」
名前さんはそう言って笑うと俺のシャツの裾を捲った。俺が身をよじると名前さんは「んー?」と眉を顰めて直に腰を撫でて胸に触れてくる。
「っ……む、ね」
「えっち今日はしないんだっけ?」
ぎゅむ、と乳首を摘まれて変な声が漏れそうになる。こくこくと頷くと名前さんは俺の服を脱がせながら胸に吸い付き始めた。舌で転がされて息が乱れる。しないって言っただろ、なんで脱がされてんだ。
「じゃあココで気持ち良くなる練習だけしとくか」
「……変態」
「いーよ変態で。口開けて」
そう言われて目を閉じてから少しだけ口を開けた。すぐにぬる、と名前さんの舌がまた俺の口の中を犯し始めて、俺も夢中で舌を絡めた。思考まるごと飲み込まれていく。……手の中にある合鍵は強く握ったままで。
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