「ねぇ、石丸クンどうかしたのかな?」
朝から石丸クンが落ち込んでいる。
普段は非の打ち所がないほどピシッと姿勢を正している彼だけど、今はふにゃっとした猫背になっていた。
そりゃもうズモーンという効果音がぴったりな程に。
ボクは状況を一番把握してそうな霧切さんに尋ねた。
「みょうじさんと喧嘩したみたいよ。」
ああー、なるほど。
よくよく見てみるとみょうじさんは明らかに石丸クンを避けてるみたいだった。
あの様子じゃあみょうじさんが一方的に怒っているみたいだ。
「ね、ねぇ、石丸クン…
みょうじさんに何かしたの?」
「苗木君…
いや、確かに僕が悪いんだ。」
石丸クンが言うには昨日みょうじさんが大事にとっていたプリンを彼が許可なく食べてしまったのが原因のようだ。
実にしょうもない理由で呆れさえ覚えてしまう。
「あのプリンをみょうじ君が楽しみにとっていたのは知っていた。
だから昨日のうちにしっかり謝ったのだが…」
『食べたい時に無いのが問題なの!』
『石丸くんなんかもう知らない!!』
「…と言われてしまってだな。」
食に対する凄まじい程の執着にボクは少し感心さえしてしまう程だった。
平たく言ってしまえば食い意地が張っている。
「でも、珍しいね。
石丸クンがみょうじさんのものを勝手に食べちゃうなんて」
ボクは疑問に思った事をそのまま彼に告げた。
あの真面目を絵に描いたような石丸クンが、人様のものを勝手に食べてしまったというのが信じられないのである。
「いや、僕が食べたのは自分の分だ。」
「え?じゃあなんでみょうじさんはそんなに怒ってるの?」
「どうやらみょうじ君はあのプリンを僕と一緒に食べたかったみたいなのだ。」
「…は?」
「僕はそれを知っていたにも関わらず一人で食べてしまったのだ!!
最近なんだか疲れが溜まっていたようでどうにも甘いものが食べたくなってだな…」
「……………」
心配したボクが馬鹿だったのかもしれない。
実に阿呆らしいと思ってしまった。
まぁ、その…
末長く爆発しろよ。