7/1 Happy Birthday 心操 人使  




7/1 今日は休日。
駅前、13:00に彼と待ち合わせ。
ちょっと気張って、レースをあしらったワンピースなんぞ着てしまって、ちょっと後悔。
髪型崩れてないかな…、変じゃないだろうか…、慣れない格好はするものじゃないな…。
逆に気合い入れすぎて引かれたりしないだろうか…。
早起きして、準備したにも関わらず待ち合わせ時刻五分前まで迫っていた。
今、わたしは、駆け足で駅まで向かっている。

「ごめん!人使!おまたせ!」

駅前で、彼を見つけて駆け寄る。
こちらに気付いた彼は、ピシリと固まった。
あ、あれ…、やっぱ変だった…かなぁ…。

「ど、どうしたの…?」
「…ナンデモナイ」
「何でカタコト!?」

プイと顔を背けられてしまった。
張り切り過ぎちゃったかなぁ?と、首を捻らせていると、手首を彼に掴まれる。

「ホラ、行くんだろ!」

彼の顔を見ると真っ赤じゃないか。
よかった…、背伸びしてみるもんだ。
今日は、沢山彼に楽しんでもらうんだ。なんたって特別な日なのだから!

それから、わたし達は隣町まで電車に乗った。
今日のプランはこうだ。水族館!!!
デートの定番!これ一本!
というか、単純にわたしが楽しみだったのもあるんだけどね。

「わぁ!見て見て!この魚超キレー!」
「こっちの魚はブサイクだねぇ〜!」
「ペンギンもいるー!!」

ハッ。なぜ、彼よりわたしが楽しんでしまってるんだ!?
あまりにも水族館が好きすぎて我を忘れてしまっていた…危ない危ない。
元々彼は、はしゃいだりするタイプではないのだけども…楽しんでもらえてるだろうか…?
ちらと隣を見ると、水槽をじっと眺める彼。
水槽のキラキラした水面が彼の瞳に吸い込まれるように集まっていた。

「…綺麗だなぁ…」
「…そうだね。」

彼は水槽から目を離さないで言ったけど、わたしが“綺麗”と言ったのは君の瞳の事だよ、人使くん。





「なんか、結局わたしが楽しんじゃってたなぁ」
「いいんじゃない。それで。」

あの後、イルカのショーを見て、特設触れる水族館にも足を踏み入れたりもしたけど、わたしがはしゃぎ倒してしまっていた気がする。
今は、地元まで帰ってきて帰り道。
人使は、わたしの家の前まで送ってくれる。そーゆーところ、すきだ。

「なんか、あれだね。人使の為の一時だったんだけど、腑に落ちん!」
「実は俺さ、まだ欲しいものがあるんだよね。」

え!なになに!わたしに出来ることなら!
あ、でも、物品はあまり高価なものは…ちょっと…とか百面相してたら、不意打ちで唇を重ねられた。
思考回路、寸前どころか完全にショート。

「ごちそーさん」

半拍置いて、状況を理解。
バボンッなんて音を立てて顔に血液が集まる。

「なまえ」

名を呼ばれて真っ赤な顔のまま、彼を見る。

「特別なものはいらないからさ…」

ポリポリと、人差し指で頬を掻く彼。
少し泳ぐ彼の目線。
その目線は、すぐに真剣な色でこちらに向けられた。

「来年もそのまた次も、祝ってよ」

祝いますとも。ええ、いくらでも…
でも、こういう不意打ちは、心臓に悪いので、控えめでお願いします。