「メローネ様、お布施でございます」
ポカンと口を開けるメローネの目の前に差し出された小さなドルチェの箱。
それを見て、次になまえの顔を見るメローネはなるほどと理解した。
「上手くいったってワケか。」
彼の一言を聞いて、なまえは陽気にピースサインを見せた。
それを見てメローネはやれやれと肩を竦め、差し出された箱を受け取る。
「あのさ、ずっと気になってたんだけど、メローネどうしてあの時すぐにわたしとギアッチョとで何かあったって分かったの?」
うーん。痛い所を突いてくるな。そう、彼は思った。
なまえは、普段は鈍感だが変な所で鋭い。
そうは思うも、彼も彼女の性格は理解しているため、隠す事はせずに話し出した。
「まぁ、細かくは想像に任せるけどさ。あの日ギアッチョ、ジェラテリアの箱を持ってアジトに帰って来てたんだよね。」
「え?」
「その日アンタとプロシュートが行った店の箱だよ。まだ捨ててなければギアッチョの部屋にあるんじゃあないか?」
彼の話を途中で踵を翻したなまえの背中を見て、最後まで話を聞きなさいよ。と苦笑いを零すメローネであった。
彼から話を聞いて、なまえはダッシュしてギアッチョの部屋へ向かった。
彼はまだ部屋に居るはずだ。
階段を駆け上がり、目的の部屋の前でギャグ漫画さながらスライディングを決めて止まる。
そのまま扉を二度三度ノックをする。
しばらくして、扉が開くもそれをこじ開ける様にするなまえにギアッチョは大変驚いた。
「お、おい!いきなり何だよ!」
そのままズンズン彼の部屋に歩を進める彼女にギアッチョは戸惑う。
なまえは一直線にキッチンに向かい、そこにある冷蔵庫の引き出し部分を開けた。
「…。」
中には、あの日からまだ処理されていないお洒落な箱が入っているだけで他には殆ど入っていない。だから、見間違える筈がなかった。
「あー…、やべっ」
「ギアッチョ、これ。」
実の所なまえは、仲直りを果たした今でも蟠りをその心に残していた。
それは、何故彼があんなことを言ったのか。それが分からずにいた事をもどかしくも思いつつ、本人のプライドに関わると考え今まで聞く事が出来ずにいた。
しかしそれは今目の前で解消されたのだ。
解消されたと同時に、彼に対する罪悪感と愛しさが込み上げてきた。
「これ、食べていい?」
「バカお前それそこそこ経ってるぞ。」
「ジェラートでしょ?腐るものじゃないし大丈夫。」
そこそこ経ってるものをいつまでも捨てずに置いている彼の言葉に最早説得力はない。
そのまま強引に彼女に押し切られてしまった。
「はぁ…、座って待ってろ。今皿に移してやっからよォ〜」
ガシガシとカールしたその頭を掻くギアッチョに、安心した表情を見せてからなまえはリビングへ移動する。
不器用な彼が、なまえの為にした事。
彼女はどうしてもその気持ちを汲みたいと思ってしまったのだ。
しばらくして、華やかなジェラートが入った器を手にギアッチョが戻ってきた。
少しばかり硬めのそのジェラートに一生懸命スプーンを刺すなまえを見て、彼は愛しさを再確認したのである。