7/28 Happy Birthday 瀬呂 範太  




「うっわ、あの子どこの子?うちの子じゃなくね?」
「めっちゃ可愛いじゃん」

放課後上鳴と切島が帰路に着く途中、校門前で見知らぬ女の子が立っているのを発見。
着ている制服からして、どうやら他校の生徒の様だ。
キョロキョロ辺りを見回している所から、誰かを待っているのだろうか…。

「俺、声掛けに行っていい?」
「あの様子じゃ、誰か待ってるんだろ…。やめとけよ。」

通常運転な上鳴はナンパしに行こうとしている。
そんな彼を切島は止めるも、聞く耳を持たない上鳴は、いや!行くわ!と足を踏み出した…所で切島とは別の人物に肩を叩かれる。

「悪い。あれ、俺の連れ。」

手を前に出してゴメンねのポーズを取るは、上鳴と切島の良く知るクラスメート、瀬呂だった。

「え?瀬呂の…連れ???」

キョトン顔の二人を気にする様子もない瀬呂はそのまま校門前の少女に駆け寄っていく。
その様をポカンと口を開けて見ている上鳴と切島。

「あ、範太!」
「「範太ぁああぁあ!?!?」」

校門前の少女に下の名前で呼ばれる瀬呂。
驚愕から、切島と上鳴は声を揃えて大きな声を出した。

「範太、…そちら様は…?」
「あぁ、同じクラスのダチ」
「せ、瀬呂くん…、そちら様は…?」

紹介された後に咄嗟に切島と上鳴は軽く会釈をするも、今度は上鳴が同じ言葉で瀬呂に尋ねた。…恐る恐る。

「ん、俺の彼女」

ペコッと頭を下げる彼女に、羨ましさやら色んな感情から切島と上鳴は舌を噛んだ。
そんな二人に爽やかな笑顔で別れを告げる瀬呂。
そのまま、彼女の手を取って歩き出す姿を見て、切島と上鳴は追撃を食らって再起不能。
心の中で末永く爆発しろ!と念じるのであった。






「お友達は良かったの?」
「いいよいいよ。それより、なまえと一緒に居てぇし。」

ニカッと歯を見せて笑う瀬呂に、なまえは頬を染めた。
今日、7/28は瀬呂の誕生日だった。
実はその事はクラスメートは知らない故に、いつもと変わらない日々を送った瀬呂だったが、誕生日本番はここからだ。

「範太、何が食べたいー?」
「そうだなぁ…、やっぱカレーかな!」
「去年もカレー作ったよ?」
「いいんだよ!俺が食いてぇんだし!」

カレーは、なまえの得意料理だ。
そして事ある毎に瀬呂は、カレーを所望する。
その事を嬉しく思うなまえは、今日も彼に甘えてしまう。
二人で帰りにスーパーに寄り、具材を買って瀬呂宅へと帰る。
瀬呂となまえの関係は、瀬呂の親公認である。そして、瀬呂の親はどちらも共働きで遅くまで家を空ける事が多かった。
故に、彼の家に夕飯を作りに行ったりはよくしていた。
今日も遅くなるようだ。

「じゃあ、わたし作るから範太はゆっくり寛いでて」

そう言いながら、エプロンを着けるなまえを見て瀬呂は、あぁ…何だか、いいな…こういうのと考える。
トントン包丁でまな板を叩く音を瀬呂はソファに座りながら聞いていた。






「ごちそーさん!いやぁ〜、ウマかった!」
「お粗末様」

そう言って笑い合う二人。
瀬呂は、立ち上がり食器を片付ける。
その間にこっそり、なまえは自分の鞄の中からある物を取り出した。
食器洗いを済ませてタオルで手を拭きながらリビングに現れた瀬呂に、ソファに座るように促す。

「範太、誕生日おめでとう!」

そして、後ろ手に隠してあった綺麗にラッピングされたそれを瀬呂に差し出すなまえ。
瀬呂は目を細めてそれを受け取った。

「開けていい?」
「どーぞ!」

リボンを解くと、中にはエスニック調のフォトフレーム。
アジアンテイストを好む彼にピッタリの雑貨だった。

「流石、なまえ。俺の好みを良くご存知で!」
「任せてよ!」

得意気に鼻を鳴らすなまえに、愛しさが込み上げる。
暫くフォトフレームを眺めていた瀬呂は、満足したのか隣のスペースをポンポンと軽く叩き、なまえに座るよう促した。
素直に隣に座ると、瀬呂はフォトフレームをテーブルにコトリと置いた。
そして、ホラと両手を広げる。それを合図になまえは、瀬呂の胸に顔を埋めるようにして飛び付いた。

「はぁああ〜、生まれてきて良かったァ〜」
「生まれてきてくれて、良かったぁ〜」

見詰めあって、笑い合う。
そして、どちらとも無く唇を重ねた。

瀬呂範太の誕生日のキスは、スパイスの味がした。