「あーっ!ジャン。またミカサの事見てるー!」
「ばっ!おまっ!見てねーし!」
いう割にガン見だったじゃん。
ジト目で睨んでやればこの男、あたふたとわかりやすい事この上ない。
ジャンはコニーとはまた違った意味の馬鹿だ。
これで周りにバレてないと思ってるから笑える。
ミカサはエレンの事しか見てないってのにこの脳内快適野郎ときたら一丁前に片想いなんかしてやがんの。これはまたお笑いである。
「てかさぁ、ミカサはジャンの事なんか気にもとめてないってー。」
「…うるせーな。」
あちゃー…、ちょっと言い過ぎてしまった。
言われなくても分かってるっつーの。と言うジャンは明らかに落ち込んだ様子。
割と惚れっぽい性格してるから茶化してみたが、今回は割と本気だったみたいだ。
「…あっ!ジャン!!ミカサだ!」
「なんだよさっきから!」
「おやおやぁー?愛しのミカサちゃんは珍しくエレンと一緒じゃないみたいだねぇ」
「なに!?」
「アピールするなら今でしょ!」
「別にそんなんじゃないからな!」
とわたしに念押しして駆けて行くジャンを遠目で見送った。
ミカサの元まで駆け足で一直線に向かっていく。
「あーぁ、相手にされてないでやんのー。」
ジャンが一方的に話し掛けているのが遠目でも分かる。
憐れ、ジャン…。
『おれは憲兵になるぞ!』
『けんぺー?なにそれ。』
『内地で安全に暮らすんだ』
『ふーん、頑張って』
『何言ってんだ!ナマエも一緒になるんだよ。そこでおれと暮らすんだ。』
わたしとジャンは同じ故郷で育った、言わば幼馴染的な存在だったりする。
幼い頃ジャンと交わした約束の為にわたしは訓練兵になったのだけど、大きくなった今ではジャンの憲兵団に入るという目的の意味は変わってしまったようだ。
「相手にされてないのはわたしも一緒、か…」
こんなすぐ側にジャンの事好きで好きでしょうがないって言う可愛い女の子が居るというのに…
それに気付かないなんて、やっぱりジャンは馬鹿だ。
「…馬鹿はわたしも一緒か。」
今日もジャンはミカサに相手にされていない。