眼蛇夢が誤解する 後  





なんとなくだけど、彼が怒っているんだというのはわたしの腕を掴む力とか、眼蛇夢が醸し出す空気とかで理解した。
無言でカツカツと足早にブーツを鳴らす眼蛇夢に半ば引き摺られるようにしてついていく。
彼のコテージに着くや否や床に転がされた。
慌てて立て直そうと身体を仰向けにして手を突くも、眼蛇夢はわたしの前にしゃがみ込んで肩を抑える。
まるで、立ち上がる事など許さん。とでも言うように…

「貴様の契約者は誰か忘れたのか」

恐ろしく冷たい眼差しに言葉が詰まってしまった。
なんでそんなに怒っているのかわからなくて頭はぐちゃぐちゃだ。
そんなわたしに痺れを切らしたのか眼蛇夢はそのままわたしを乱暴に床に縫い付けた。
ここで冒頭に繋がるわけだ。

「なんで…そんなに怒ってる、の…」
「ハッ、言葉まで通じない程落ちぶれたか。
俺様は、貴様の契約者は誰だと問うているのだぞ。」
「それは、眼蛇夢だけど…」
「ならば何故、あの雑種に涙を見せた。」

それは…、と言い淀むわたしに気分を害したのか眼蛇夢はわたしの首筋に顔を近付けた。
それに慌てて抵抗する。
だって、彼がこれから何をしようとしているのか分かってしまったから。

「言えないような理由なのか。」

一瞬だけ哀しみを帯びた眼を見せたが、直ぐに先程の冷たい表情に戻ってしまった。
そのままわたしの首筋に噛み付く。

「イッ、タ…!」

悲痛の声を上げるも、眼蛇夢はやめるどころかエスカレートしていく。
わたしの制服を下着ごと巻くし上げ、隔てるものがなくなってしまったわたしの胸を彼は嬲る。
大きな掌で形が変わるほどに揉みしだかれたり、突起をざらついた舌で舐め回されたりするうちにわたしの声は甘みを帯びたはしたないものへと変わっていく。

「んぅ…が、がんだ、む…っ」
「嫌がっていた割に良い声が出るようになったな」

それならこっちはどうだ?と手を腰から内腿へと滑らせ、そのままスカートの中に侵入してきた。

「やっ!眼蛇夢!」

こんな状況で下着に染みを作ってしまっている事実を知られたくなくて、彼の手を遮るも空いているもう片方の手で手首を掴まれてしまった。
ああ、駄目だ。
抵抗も虚しく、いとも簡単にわたしの動きを封じた眼蛇夢は下着の上から陰核を押し潰すようになぞった。

「んあッ…、がんだむッ!」
「下着の機能を果たしていないな。」

ニヤリと不敵な笑みを浮かべてわたしの目の前に右手を差し出してきた。
眼蛇夢の人差し指と中指には信じられない事にわたしの粘液が糸を引いている。
羞恥から顔を背けたと同時にわたしの下着は彼の手によって取り払われてしまった。
本気だ。眼蛇夢は本気で最後までする気みたいだ。

「俺は、お前が誰を好いていようと…
今更手放す気は更々無い。」

今、このタイミングでそれは酷いんじゃないだろうか。
わたしだって、そこまで馬鹿じゃない。
つまりは眼蛇夢も左右田に嫉妬してくれていたという事…
そうなれば先程までわたしに問うた内容も納得がいくというわけだ。
変に彼を避けた結果、眼蛇夢は勘違いをしてしまったようだった。

「違うの!眼蛇夢、あのね…ひぁっ!!」

弁解しようと口を開くも、それは彼がわたしの陰部に顔を埋めた事によって喘ぎにしかならなかった。
眼蛇夢の熱い吐息と舌で濡れそぼった割れ目をなぞられるだけで何も考えられなくなってしまう。
身体を駆け抜ける快感に背筋が粟立った。

「あ、あっ…だめっだめ!」

膣内に出し入れしたり中を執拗に舐め上げていた舌は、あと少しというところで引き抜かれてしまった。
挑発的な視線をこちらに寄越しながら舌舐めずりをする。
それだけで子宮がきゅんと疼くのが自分で分かった。
ああ、もうだめだ。
こんな無理矢理、強姦紛いな事されているというのにもう彼が欲しくて欲しくて堪らない。

「が、眼蛇夢!」

彼の服を掴んで懇願の眼差しを送る。
言わんとしている事が伝わったのか彼は目を細めて、いつの間に出したのやら屹立した猛りを割れ目に当てがった。

「んあぁッ!」

そのまま一気に貫かれるとガクガク揺すられた。
激しさのあまり頭が真っ白になり目の前がちかちかする。
そうなれば凄まじい快感やら色んなものが押し寄せると同時に酷くこの男を愛しく感じた。

「はぁッ…!が、がんだむッ!…す、き!」
「…ッ!」

堪らずそう口にすると、眼蛇夢は驚いたように目を見開いた。

「お前は…、つくづく都合のいい女だ、な」
「違う…、わたしっ、眼蛇夢だけ…だもん!」
「………」
「こういう事するのも眼蛇夢だけだもんっ!」

勘違いだと理解して欲しくて、思いの丈を吐露するも自分が何を言いたいのか頭がぐちゃぐちゃしてとんでもない事を口走った気がする。
更に、行為中の生理的なものなのかはたまた精神的なものなのかは分からないけれど、涙が止まらなかった。

「眼蛇夢だって、ソニア、ちゃんと仲いいじゃない!」
「なまえ」
「わたしっ、それが凄く嫌なの!わたし、今日だってずっとモヤモヤ、してて…ッ!」
「なまえ」
「ソニアちゃんいい子なのにっ、そんな事思っちゃう自分が嫌いで…、んぅ!」

途中で荒々しく口付けられた為にそのまま言葉は掻き消されてしまった。
軽く歯列をなぞっただけで離れてしまう。

「もういい。」

それは決して否定的な言葉ではないというのはわたしの頭を優しく撫でる彼の手つきと眼差しで理解した。
先程までの冷たい表情は彼の顔からすっかり消え失せている。
いつもの眼蛇夢だ。
安心したのもつかの間で、彼がまた律動を始めた。
だんだん速くなるそれは彼の限界が近い証拠。
こちらの限界も近い事を知らせる為に、彼の汗ばむ額を引き寄せてキスをした。

「あ、あッ!がん、だむ…、がんだむ!」
「くッ…、なまえ、」

名前を呼ばれると嬉しさで肩が震える。
ぴんとつま先が伸び、膣が何度か収縮を繰り返し達すると眼蛇夢も数度腰を動かして中から引き抜いて果てた。

「…すまなかった。」
「あ、いや…わたしこそ、ごめんね。」

後処理を済ませた後、そのままベッドに腰掛けていたら眼蛇夢がそんな事を言うものだから。
ああ、わたしこの人が好きだなあってしみじみ思った。
わたしはつくづく現金な奴である。
もう既に昼間の事は全然気にならなくなっていた。
だって、眼蛇夢とこういう事出来るのはわたしだけなんだから。
よくよく考えたら馬鹿だな、わたしって。

「眼蛇夢も嫉妬するんだね。なんか、嬉しかった、な。」
「なっ!図に乗るなよ!」
「あんな事しといて照れる事なくない?」

悪戯っぽく言ってみせると眼蛇夢はバツが悪そうにした。
口籠ってごにょごにょとまた謝罪の言葉を述べようとしたのでキスして塞いでやった。