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ネタ


審神者2と薬研
 彼らの、大好きな兄に会いたいという気持ちは十分すぎるほどひしひしと伝わってきていた。鍛刀を行えば、もしかしたら兄がきているかもしれないと部屋を覗き見て、顕現された刀が待ち人と違えば肩を落として帰っていくのも知っていた。違う刀であっても、ようこそ、と笑顔で迎え入れて歓迎する健気な姿たちが胸につきささる。彼らは短刀であるがゆえに幼い容姿をしているからこそ、よけいに辛かった。ぽそり、「いち兄」と洩らされた名前に、私は目を伏せるしかできなかった。

「大将、どうした」

 先ほどの姿がちらつき、仕事が手につかない。すすまない筆に、薬研から声をかけられる。そういえば、彼も兄弟刀であったはずだ。






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