「私も、栞が、大好きよ!」
子供たちの間に、笑顔が浮かぶ。「あーあ」太一がにやりと笑って、手を頭の後ろに組んだ。
「俺も空の愛情が欲しいぜ」
「バッ、バカ、太一!なんてことを言うんだ!」
「アれ、丈、顔真っ赤ダよー?」
太一のちょっとした冗談に、丈は顔をこれでもかというくらい赤く染め上げる。イヴモンに指摘され、更に顔を赤く染める。栞は、ちょっと驚いた眼をしたが、すぐに、小さく笑った。
「空の愛情は、ピヨモンと、私のものだから――八神くんには、あげないよ」
「なっ!言うようになったな、栞ー!そーいう生意気な奴は、…こうしてやる!」
太一の骨ばった手は、ぐしゃぐしゃと栞の髪の毛を掻き乱した。久しぶりに全員が集結した中で、みんなが、笑った。少し離れた位置に背中を向けて座ったヤマトは、静かにハーモニカを吹く。
昨日までの騒動がまるで夢のように、彼らの幸せな時間が、ここにあった。全員が揃うことが、こんなにも幸せなことなんて、誰が予想しただろう。否、むしろあの騒動があったからこそ、8人の結束が以前にも増して強くなったのだろう。――いつまでも、幸せな時間が続けば良かった。
「―――っ!!」
しかし。
栞はびくりと体を震わせた。頭から伝わる振動に、太一も気づく。「栞――」名を呼べば、彼女の瞳はゆっくりと山の方へと向けられた。子供たちは警戒を見せ、立ちあがる。不穏な空気が、彼等を包み込んだ。
「はっはっはっはっは…!」
「っあの声は…!!」
空が闇に染まっていく。栞は自分自身を抱きしめた――直ぐに、子供たちは彼女を取り囲むように、構えをとる。
「…みんな…」
誰も答えはしない。それでも、本能的な部分が語る。もう離れ離れになんかなりはしない。
「選ばれし子供たちよ――いくらお前たちが守人の力を得ようとも、お前達7人の力では我々闇の力の企みを阻止することは出来ないのだ――」
決して忘れはしない。この声を。全員が暗黒の雲を睨みつけ――それは、始めから何もなかったかのように、彼方へと消えて行った。
これから始まる新たな戦いを、告げて。
17/07/27 訂正
11/04/18
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