「…守人よ、己を責めるではないぞ」
「…で、も…」
「この大地はすでに闇で染められておる。そなたが影響を受けるのは、仕方のないことなのじゃ」


 泣きそうになるのをぐっとこらえ、栞は俯いたまま、こくんと頷いた。少しだけ、胸にある不安が軽くなった気がした。


「さて」


 言葉を区切って、ゲンナイは子供たちを見回した。


「アグモンがコロモンに退化したわけを話そうかのう」
「退化した、わけ…」
「そうじゃ。たとえ、タグと紋章を手に入れても、正しい育て方をしなければならぬ」
「正しい育て方、って」
「正しい育て方をしないと正しい進化はしない…」
「だから、正しい育て方ってなんだよ!?」


 子供たちは一斉に不満の声をあげた。核心をなかなかついてこないゲンナイの遠回しな言い方に痺れを切らしてしまったのだ。


「選ばれし子供たちよ…正しい育て方を考えるのじゃ…そうしなければ、いずれは守人が…闇に、…堕………それ……が…」
「ゲンナイ!?」


 すべてを言い終える前に、以前と同じく、ゲンナイの立体映像は横にブレて、そのまま消えてしまった。太一は急いでその残像に手を伸ばすも、それは意味をなさず、ただ空を切った。手持無沙汰になった手をぎゅっと握りしめ、眉根もぐっと寄せた。


「くそっ、あのジジイ、いつもワケのわからないことばかり言いやがって…!」
「…正しい育て方、って」
「俺たち、正しい育て方されてるのかな…?」
「お、おい、ガブモン!ちょっと待て!」


 ピヨモンが、不安気につぶやいた。その後を拾ったガブモンは、更に不安そうな顔をしていた。ヤマトは、そんなガブモンのつぶやきを聞いて、人知れず焦った。そんなことを言われてしまったら、パートナーとしての意味がなくなってしまう。藁にもすがる思いだったゲンナイの登場は、子供たちを安心させるのではなく、逆に不安感を募ってしまった。

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